キャラクターの「性的指向」を選べると、ゲームはどう変わるのか?
ジェンダーや性的指向の多様性が広がる昨今、ついにゲームキャラクターの性的指向を選べる時代が来た。
注目のアップデートを発表したのは、2014年に発売された人気ゲームソフトの「The Sims 4」。
プレイヤーは「シム」と呼ばれる市民を作り、自分の街に住むシムの生活、そして人生を体験していくというシミュレーションゲーム。
「人生を体験」という言葉の通り、シムの活動は衣住食にとどまらず、就職や恋愛、さらには結婚から出産(もちろん、出産の前には「ウフフ」と呼ばれる儀式もある)まで、まさに人生を歩んでいく。
そんなSims 4の新パッケージ「High School Years Expansion Pack」に追加されたのが、「性的指向」という新機能。
これは、「シムが誰に惹かれるかを示す、シンプルで肯定的な」言葉。
同機能によって、シムがロマンスを求めたり、ウフフな行為をする対象(簡単に言うと恋愛対象)を自由に設定できるようになり、LGBTQIA+を含めたインクルーシブな人間関係に近づくというわけだ。
また、5月にはこれに先立って代名詞をカスタマイズされる機能も追加されている。
時代に寄り添った素晴らしい新機能だが、大切なのはこれはまだ「第一歩」に過ぎないということ。
8年も前に販売されたSims 4では、技術的な制限によって性別に関する選択肢が2つしかなく、まだTやQ等には対応できない。
運営は「この旅はまだ途中であり、道のりはまだまだ長い」と語り、将来的にはシステムを更新し様々なジェンダー・アイデンティティを追加していくと発表している。
一方、追加された「性的指向」機能をオフにすることはできないという。その理由は、
「LGBTQIA+のアイデンティティは人生の事実であり、オンとオフを切り替えできることではありません」。
これは名言。まさしく「人生の体験」をするSimsらしい考え方だ。
8年間愛されるゲームソフトは、時代とともに変革=成長し続ける一つの“生”を持っているようだ。
成長し続ける「The Sims 4」が真にインクルーシブな世界を実現するまで、その旅の歩みを楽しみにしよう。