渋谷のど真ん中でととのえる日が来るなんて。

これまで、一体何人のサウナーたちが検索しては涙を飲んだだろうか。

不毛の地と呼ばれて久しい「渋谷」に、一発逆転満塁ホームラン級のとんでもないサウナが誕生。

「渋谷SAUNAS(サウナス)」だ。

©2022 NEW STANDARD

飲食店であればブームと見るや飽和するほど一気に増えるけれど、サウナはその参入障壁が高いせいか、ここ数年なかなか供給が追いついていない。

サウナ室で肩をすくめていたり、中に入れない裸の人たちが並んでいるシーンは、もはや風刺画レベルだ。

100年に一度の大開発が進んでいる渋谷もまた、一部ホテルサウナなどしかなく、長くサウナ不毛の地だと言われてきた(かつては日本最初のフィンランド式サウナ「スカンジナビアクラブ」があったのだけど……)

渋谷で打ち合わせが終わったときも、友だちと遊んだあとも、結局は「笹塚行く? 新宿か池袋まで行く?」と、作戦会議が必要だった。

渋谷駅徒歩6分
(体感では3分!)のサウナ

©2022 渋谷SAUNAS

ロウリュの熱と音の広がりまで計算された、音を愉しむ「サウンドサウナ」

「渋谷SAUNAS(サウナス)」の特徴はおそらく色々なところで語られるので、ここではサクッとポイントを絞ってご紹介したい。

総合プロデュースは、ご存じ『サ道』のタナカカツキさん。これまで数多の声がけがあったはずだけど、今回が初のプロデュース。渋谷なら自分も通えるし、名前だけの “プロデュース” にならずちゃんとコミットできそう、というのも理由のひとつだそうだ。その期待値の高さから、事前のクラウドファンディングでは2200万円が募った。

9つのサウナ室と4つの水風呂。シンプルにその数にも驚くし、それぞれ趣向を凝らした楽しみ方ができるのが「サウナス、ヤバイ」と言われる理由。しかもここは地方でもなければ郊外のスーパー銭湯でもなく、渋谷駅から徒歩数分なのだ。

こだわりの館内着とアメニティ、レストラン館内着はDIGAWEL監修で、アメニティはOSAJI。サウナ飯には、ミシュラン2つ星の「精進料理 醍醐」の四代目、野村祐介さん監修によるヴィーガンレストランが併設。終始ととのいを妨げないのがありがたい。

ほかにも長時間滞在したくなる快適なワークスペースや、予約制の会議室もあり。

©2022 渋谷SAUNAS

3人掛けの室内で白樺の香りを堪能できる「ヴィヒタサウナ」

©2022 渋谷SAUNAS

足元から温まるのが気持ちいい、オートロウリュ付き「ベッドサウナ」

©2022 渋谷SAUNAS

後頭部まで冷やせる、寝転べる水風呂「マタラ」

©2022 渋谷SAUNAS

関東最深級、160cmの水風呂「シヴァ」

渋谷SAUNAS
©2022 渋谷SAUNAS

45席を有するオープンスペース。1日ここで過ごしたい……。

©2022 NEW STANDARD

オリジナルグッズも、とにかくかわいい。

そんな渋谷SAUNAS(サウナス)の最大の衝撃が、ゼロイチで「サウナのためだけに設計された3階建てのビル」ということだ。

その、振り切りっぷりがすごい。

通常であれば、飲食店のテナントが入っていたり、企業のオフィスが入っていたり、と複合ビルとして収支を安定させながら「◯階と◯階だけサウナです」というのが定番だ。そうなると当然、サウナを作るときにはさまざまな建築上の制約が発生してしまう。動線が〜、とか、外気浴スペースが〜、とか、あっちを立てればこっちが立たず状態の “惜しい” サウナを経験してきた人も多いのではないだろうか。

一方の渋谷SAUNAS(サウナス)は、サウナが好きすぎる大人が集まり、サウナのことだけを考えて建てた、100%ピュアガチサウナビルなのだ。しかも渋谷に(笑)。

このクレイジーさは、サウナという文化がスタンダードになってきた象徴でもあるし、ありがたすぎて笑うしかない。

都会の人こそ、休息を。

渋谷SAUNAS
©2022 渋谷SAUNAS

茶室をイメージした「テータ」と呼ばれるサウナ。

そこには、タナカカツキさんの「現代人はきっと、人類史上1番脳を使って疲れている。だからこそ自然体験であるサウナが必要だし、渋谷SAUNASは心身を休息させるための条件を満たしました」というコトバが刺さる。

SAUNASでととのっている時間は、ここが渋谷であることを忘れられる。(実際さくら坂の上にあり、渋谷とは思えないほど静かで外気浴がたまらなく心地いい)。

 

休息のための細かいこだわりは、たとえばサウナ室の木材や、オープンスペースのテーブルや椅子までカドが削られて丸みを帯びていて、くつろぐ人たちにわずかなストレスも感じさせない作りになっている。また、サウナにありがちな “やかましい館内案内” などもなく、目にやさしい電子ペーパーで必要最低限な情報だけが提供される。

 

うーん、この完成度をどう形容するのがいいのか。。。

 

都会のオアシスとか天国なんて呼ぶのは野暮だし、少しイメージとも違う。どちらかというと、旅先で出会った大自然や、歴史ある寺院の厳かな雰囲気に触れたときのような、そんな空気が「渋谷の一画」に漂っている。そんな感覚になるのだ。

渋谷SAUNAS(サウナス)

オープン:2022年12月23日(金)
住所:東京都渋谷区桜丘町18-9
料金:
月〜金 ¥2,800(¥3,080 税込)〜
土日祝 ¥3,500(¥3,850 税込)〜
営業時間:8:00〜24:00(当面のあいだは営業時間8:00〜23:00を予定、予約制。詳しくはHPをご確認ください)
定休日:不定休
https://saunas-saunas.com/
Twitter:@SHIBUYA_SAUNAS
Instagram:@shibuya_saunas

Top image: © 2022 渋谷SAUNAS
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。