シムズ4の「踏み込みすぎた多様性」に賛否の声
「人生の体験」というコンセプトの下、幅広い選択肢で人々の多様性を体現する『The Sims 4』。サステナビリティやジェンダー(性的志向)への対応ときて、次に来るのは何だろうか。
「Electronic Arts」社が出した答えは、医療の痕だった。
1月31日、最新アップデートにて、新たなアセットが実装。様々な外観要素が追加されたが、注目したいのはシム(ゲーム内の人々)の個性を広げる選択肢の追加だ。
シム作成の新たな選択肢として、「医療用ウェアラブル」や「胸の手術の傷」が実装されたのだ。
「医療用ウェアラブル」とは、補聴器とグルコースモニターのこと。シムの作成画面にて「胴体」および「顔のアクセサリー」を開くと、これらのデバイスをシムに装着できる。
15色のカラーバリエーションと右・左・両方の選択肢から自由に選び、障害や病気と共に生きるシムを生み出せるようになった。
また、「胴体」内の「体の傷」カテゴリーには、ティーン以上の年齢の男性シムに「胸の手術の傷」を追加できるようになっている(技術的かグラフィック的な問題か、女性シムに胸の傷を当てることはできない模様)。
これらの選択肢は、病気や障害など、人々が無視することのできない身体的特徴を再現し、“個性”の幅を広げるものだ。
ゲームの性質上、シムはユーザー自身を反映する存在ではない(ユーザーが操作するアバターではなく、設定した性格や志向に基づいて自動的に行動する)。それでも、「人生の体験」というコンセプトにおいて、病気や障害・手術は必要な選択肢と言えるだろう。
さらに、衣服のアセットとして上半身用の「バインダートップ」と下半身用の「シェイプウェア」が追加され、性別を問わない衣服の選択肢も拡大されている。
ジェンダーや人種、志向性まで幅広い視点から多様性を追求してきた『The Sims 4』だが、医療に関する身体の特徴が実装されたのは、予想の上を行く斬新な切り口だ。
実際、かなり踏み込んだ発想は賛否両論なようで、Twitterのリプライを見ると批判や嫌悪の意見も多数見られる。
今や「多様性・包括性」を語るコンテンツはごまんとあるが、この観点にたどり着いたものは少ないのではないだろうか。賛否はさておき、「視点の広さ」という点において、今回のアセットは時代を象徴する新たな気づきとなるかもしれない。
発売から7年以上が経過した今も、着々と進化しているこのソフトが「真の多様性を実現する」その日まで、今後も動向に期待したい。