家事で収入を得るってアリ?「フルタイムチルドレン」という新たな働き方

「フルタイムチルドレン」という言葉をご存知だろうか?

これは、親や家族のために家事や買い物を手伝う見返りとして、家族から報酬をもらう若者たちの総称。斬新すぎるこの新しい働き方は、若者の失業率が急速に悪化する中国で始まった。

競争社会が生み出した功罪

中国では都市部若者の失業率の悪化だけでなく、大学や大学院を出ても就職できない高学歴エリートが急増。運良く就職に成功しても「1日12時間労働、週1日の休み」という絵に描いたような劣悪環境は、若者の離職率の増加につながっている。

「就職できなかった」若者と「就職から逃れてきた」若者が最終的に選んだのは、フルタイムチルドレンだった。彼らは両親のために家事全般を請け負うことで、中国の平均給与並みの月収を両親から受け取る。

見方によれば「親のすねかじり」に思えるが、彼ら自身も当然この選択が最適であると考えておらず、中国の激しい競争社会やパンデミックからの予想以上に遅い経済回復を鑑みた結果、「stay at home only temporarily」(一時的に実家にいるだけ)と、一つの選択肢としてポジティブに捉えているようだ。

 衰退する若者たちの心の拠りどころ

また、過酷な学歴社会や長時間労働を経験し精神的に衰弱した若者にとって、フルタイムストレスな生活よりも自宅で健康的な暮らしをする方が安心感や人間らしさを感じることができるという意見にも、非常に納得がいく。

中国の若者だって、労働環境や雇用環境が整っていればやりたい仕事・なりたい職業があるはずだ。彼らがこの選択を余儀なくされている要因は、中国政府の政策が産んだ構造的な問題が根底にあるに違いない。

日本でも長時間労働の改善非正規雇用と正規雇用の格差など、若者がフルタイムチルドレンになり得る条件はすでに揃っている。

君たちはどう生きるかーーー。

 

Top image: © iStock.com/Edwin Tan
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