ウェールズにて「欧州初の黒人指導者」誕生
今年、ウェールズに初めての黒人指導者が誕生した。
3月の選挙にて、ザンビア出身のVaughan Gething氏がウェールズ労働党の党首に選出、ウェールズおよび欧州諸国で初となる黒人の首相(主席大臣)となった。
これにより、英国の4つの政府のうち3つ(イングランド、スコットランド、ウェールズ)が非白人指導者に。また、アイルランドでも史上最年少の首相が就任するなど、英国全土で変革が起こっている。
自らを“ザンビア生まれのウェールズ人”と表現するGething氏は、家族がザンビアから英国に移住した際に差別を経験し、ネルソン・マンデラに関する新聞記事に触発されて17歳で労働党に入党。
アベリストウィス大学とカーディフ大学(どちらもウェールズの名門校)で学び、労働組合の弁護士でキャリアを経て2013年に英国で初めての黒人大臣に就任した。ウェールズ語(カムリ語とも呼ばれるウェールズの母語)話者ではないが、自国の誇りとして広げるために勉強中とのことだ。
そんな同氏は、雇用制度の改善や教育水準の向上、より信頼できる交通システムの建設などを通して、ウェールズを“世界でより高い地位に”導くことを公約として掲げている。
自身の人種と経歴を踏まえ、ウェールズの人々が「違いを祝福し、誇りを持てる場所」にすることを誓った。
歴史が動いたのは喜ばしいことだが、批判の声も。
特に同氏が「有罪判決を受けた人物の経営する企業から融資を受けた」とする疑念は目立っており、これを乗り越えない限り、変革は一筋縄ではいかないかも知れない。
ただ、時代を進めたGething氏の勝利演説は自信に溢れたものだった。
「今日、我々はウェールズの歴史の1ページをめくる。私たちが共に書く歴史だ。私がヨーロッパで初めての黒人指導者となり、新しい時代が始まるのだから」
D&Iの意識が加速する中、これは世界的に重要なマイルストーンとなるはずだ。歴史の1ページとなった氏に期待が高まる。