現代人の誰もが一回は経験したことがあるであろう現象「ポップコーン脳」
こんな経験はないだろうか?
友だちに連絡する用事を思い出して、あなたはスマホを手に取る。画面を見るとお気に入りのショッピングサイトのセール通知が。ちょっとだけチェックするつもりが気づいたらカートに商品を入れ、なんとなく今流行りの歌を頭の中で再生する。ふと、今夜のごはんを案じ冷蔵庫の中を想像して、我に返る。
「そういえば、最初スマホで何しようとしてたんだっけ?」
きっと、現代人なら誰もが経験済みであろうこの現象、じつは「Popcorn Brain(ポップコーン脳)」というらしい。
人間の注意力の持続時間:わずか47秒!?
進む「ポップコーン脳」
ポップコーン脳は、2011年にワシントン大学の研究者デイビッド・レヴィ氏によって導入された用語で、ある話題から別の話題に素早く移行しやすい症状に代表される精神状態を指すのだそう。加熱されたフライパンの中でポップコーンの粒が急速に弾ける様子に喩え名付けられたわけだが、言い得て妙じゃないか。
レヴィ氏によると、この症状に悩まされている人はタスクに集中したり、一貫した思考回路を維持したりするのが難しい傾向にあるそう。
先月、「Forbes」が人間の注意力の持続時間について興味深い研究を紹介していた。カリフォルニア大学の研究者らによる20年にわたる研究の結果、注意力の持続時間は2004年の平均150秒から、47秒にまで減少しているというのだ。
およそ1/3にまで減ってしまった人間の注意力の持続時間。これ、背景にはどんな原因があるのだろうか?
そもそも、私たちに身近なソーシャルメディアは、ターゲットを絞った広告、人々を画面に釘付けにするためのアルゴリズムなどが組み込まれている。高速化されたやり取りにより、無意識のうちに脳は短時間の情報を好むようになり、単一のタスクに継続的に注意を払うことがますます困難になってきているというのは、実感をもって感じられるのではないだろうか。
STOP!ポップコーン脳
改善策はこの2つ!
こうなると、ある種の“現代病”捉えることができるポップコーン脳に、我々はどう対処していけばいいのだろう? 心理学者マーク・トラバース氏のアイデアを「Forbes」が紹介する。
①コンテンツから距離をおく時間をつくる
1日のなかでスマホから離れる時間を設けることはもちろんだが、たとえばアプリごとに使用時間の制限を設けるなどして、直接的に脳に空きスペースを確保することはやはり効果的なよう。
気を散らす要因が側にあると、タスクが絶え間なく切り替わり断片化されてしまう。その結果、我々の脳は長時間にわたってひとつのことに集中しづらくなる。ならば、そもそも「見ない、触らない」という時間を確保することを意識的につくることが必要なのかもしれない。
②日々のルーティンをつくる
日々のなかで体系化された日課を確立することは、タスク管理のみならず脳の管理にも役立つようだ。日々ルーティンを実践することでネガティブな習慣を効果的に抑制でき、集中して生産的なタスクを継続する一助となるという考え。精神と肉体をととのえ、ルーティンワークで脳の整理をしてみてはいかがだろう。
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トラバース氏はこうもいう。これらの対策はポップコーン脳を緩和させるだけでなく、多くの精神的な問題にも機能する可能性がある、と。それでも、もしネットの過度な使用が日常生活に悪影響を及ぼしていると自覚する際には、ためらわず専門家の助けを求める必要もあることは言うまでもない。