定番商品の「オーガニックライン」探しがやめられない!

すこし古い話で恐縮ですが、2018年春のこと。

“翼を授ける”でおなじみ、レッドブルが「エナジードリンクじゃないレッドブル」をリリースして話題となりました。いや、実のところなったのかすら記憶が怪しい限りです。

でも、少なからず私は衝撃を受けたひとり。だって、言葉を選ばずに言えば、あのケミカルでぶっ飛んだエナジードリンクが有機JAS認証を得たオーガニックとなって登場したのだから。

翌年、全国発売となった「ORGANICS by Red Bull」は、飛ぶ鳥落とす勢いのkemioをインフルエンサーに招き、レッドブルの新領域として大々的なキャンペーンを展開……のわりに本家ほどの人気商品とはならなかったようで。コロナ禍が過ぎ去るのと時を同じくして、市場から泡沫のように姿を消していきました。

すでに確立した印象が強すぎるがゆえかレッドブルにユーザーが求めるものとのギャップかは定かでありませんが、「いったい、あれはなんだったのか?」という複雑な思いだけを人々に残し、終売となってしまったオーガニック版のレッドブル。

エナドリじゃない「レッドブル」再び……

organicsbyredbull / Instagram

そんな「ORGANICS by Red Bull」が、どうやらフレーバーを拡充してヨーロッパの一部地域で展開しているというじゃありませんか!

こうなると、なんだが無性に「もう一度、逢いたくて仕方ない……」なんて気にさせるものだから不思議。飲みたい、というよりも確かめたいんです。レッドブルが捉えるオーガニックというものを。

 

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ふたたび日本の地を踏むことになるのかはさておき、じつは、みなさんのよく知る定番商品にはオーガニックラインが存在するものも珍しくありません。

前置きが長くなりました。今回はそんな定番商品の“じゃないほう”のご紹介から始めたいと思います。

あの「あずきバー」
オーガニックになる

©2024 NEW STANDARD

オーガニック先進国のひとつアメリカには、数々のオーガニックアイスブランドが存在します。2018年に日本初上陸を果たした「Three Twins Ice Cream(スリーツインズ アイスクリーム)」などは、みなさんよく知るところ。さらにはオーガニックを超え、世界で初めて「リジェネラティブ農業認証」を獲得したアイスなんてものも昨年ご紹介させていただきました。

もちろん、日本にもインディーなオーガニックアイスを展開するショップやブランドも多くありますが、企業やメーカーとなるとどうでしょう?

じつは、あるんです。

歯が欠けるほどに“硬いアイス”でおなじみ井村屋「あずきバー」のオーガニックバージョン。有機砂糖と有機小豆を用い、定番のあずきバーとまったく同じ製法でつくられた「オーガニックあずきバー」は、ちゃんと有機JAS認証を取得した一品。

「オーガニック」という冠を配したことによる味わいの違いを探ろうと、賢明に舌先に集中してみましたが正直な感想はスタンダードなあずきバーとほぼ一緒。すっきりとした優しい甘さが際立ったかな、という印象。

「クレイジーソルト」もオーガニック!

©日本緑茶センター株式会社

さらには、あの「クレイジーソルト」にもオーガニックバージョンがございまして。

岩塩に6種の香味野菜やハーブ(オニオン、ブラックペッパー、ガーリック、セロリシード、タイム、オレガノ)を加えたシンプル調味料として日本でもスタンダードなこの商品。ハーブやスパイスをすべて有機素材にしたのが「オーガニック クレイジーソルト」です。オリジナルよりも価格は200円ほど上がりますが、お料理のテンションもいつもより上がるかもしれませんね。

世界で唯一のオーガニックな
「シラチャーソース」

©2024 NEW STANDARD

激辛ファンにはたまらない、シラチャーソースにもオーガニックが存在します。タイ北部チェンマイ発のオーガニック食品ブランド「CIVGIS&lumlum」がつくるシラチャーは有機とうがらし、有機パイナップル、有機にんにく、有機砂糖にお塩を加えてつくったもの。

 

といった具合に、いつも手に取る商品に存在するオーガニックライン。これ以外にもパスタやコーヒー、お茶、さらには冷凍食品など挙げればキリがありません。そこで、読者のみなさんに伺います。

オーガニックはどれだけ「購入の目的」となりますか?

オーガニックである必要はなんなのか?

ひとつの指標として、2019年に農林水産省が実施した「有機食品等の消費状況に関する意向調査」より、一部データを抜粋しご紹介いたします。

「食品を購入するときによく確認する表示内容(複数回答)」を尋ねた項目。ここでいう食品はオーガニックに限らずではあるものの、回答者1099人のうち72.5%がまず「原産国」を挙げ、次いで「賞味・消費期限」(68.2%)、「原材料」(62.8%)という順。ちなみに、「有機JASマーク」はわずか14.6%に留まる結果に。

オーガニックであることの利点やメリットは理解しつつも、それを「選ぶ」かというのはまた別の話ということなのでしょう。ただ、こうなるとオーガニックである必要がはたしてあるのか、ないのか? 個人の選択の域をいまだ脱せずにいるのがここ日本の現状であります。

いっぽう、「国際連合食糧農業機関(FAO)」がまとめた資料によりますと、世界のオーガニック食品市場は2022年の時点ですでに135億ユーロに到達しているといいますから、日本円で換算すれば約2兆3000億円規模。有機農業は188ヵ国で実践されており、9600万ヘクタール以上の農地が少なくとも450万人の農家によって有機的に管理されているそうです。

数字をリードしているのが欧米の先進国であることは言わずもがな。ですが、この数字の大小すらも日本で生活していると無頓着になってしまうのではないでしょうか。オーガニックを選ぶのはもちろん個人の自由。ですが、需要を満たす商品数であったり小売店の陳列棚の数がそもそもオーガニックが“恒常化”している国々とは違うことも大きく影響しているはずです。

オーガニックを選ぶ“意味づけ”

あらためて、オーガニック製品を買う・選ぶ目的とは。

かく言う私も、オーガニックを選ぶ明確な基準をまだ見出せていない一人です。そこで、今回ご紹介させていただいた食材を定番商品に替え食べてみたうえでの感想を書き添えさせてください。ぼんやりした表現で恐縮ですが、こう。

①普段の食習慣を後押しさせられた気分になる
②有機であり続けようとするつくり手の熱量への対価にペイした気分になる

どちらも、「目に見えない」部分ではありますが。

食べたり身につけたり、オーガニックを消費するのは自分。でも、そのマインドをもうちょっとだけ拡大して、“個”から外側へと広げるとどうなるだろう。そこにオーガニックを選択するポイントがあるような気がしてなりません。綺麗事を言いたいんじゃありません。そうでもしないと、オーガニックを手に取る目的を見出しづらいと思うからです。

とはいえ、オーガニックが単なるトレンドや特定の人たちにとっての思想となるのではなく、自分の健康や環境に深くリンクした選択であると捉えること自体は、そう難しいことでもありませんよね。モノやコトから消費行動がイミへと移り変わったこの時代にこそ、オーガニックを選択する目的がこれまで以上にはっきりするような気もします。

勝手知ったるいつものあの商品のオーガニックライン。もしかしたら、オーガニックを手に取るきっかけをつくってくれるかもしれませんよ。

Top image: © 2024 NEW STANDARD
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。