2030年、あなたにとってのオーガニックはどうあるべきか?

食品、コスメ、コットン、レストラン、石けん、シャンプー、カフェ、農法……これらの単語に共通する接頭語といえば、そう「オーガニック」です。

いま、世の中はありとあらゆるオーガニックで溢れています。それは、きっと喜ばしいこと。では、あなたは何を基準にオーガニック製品を選び、取り入れるのでしょう。

オーガニックは必需品?それともただの嗜好品?

審査や認証ももちろん重要です。けれど、消費者である私たちがオーガニックをどう捉えるか。そこにあらためて目を向けてみたいのです。今よりもっと理解を深めるためにも。

体にも自然にも大事、でも高い……
オーガニックへの意識

©株式会社ネオマーケティング

マーケティング支援事業をおこなう「株式会社ネオマーケティング」が、2022年全国の20歳〜69歳の男女400人を対象にオーガニックの実態調査を実施しました。そのなかでオーガニック製品/オーガニックフードを購入する理由として挙がった上位3つの回答をご紹介したいと思います。

●化学物質が不使用であることに安心するから(43.2%)
●身体に余分なものを入れたくないから(40.2%)
●製品の質、または効能が高いと感じるから(35.0%)

体に取り入れるもの、身につけるものだからこそ化学物質の不安感を取り除きたい。そんな思いが反映された回答に納得です。

いっぽうで、こんな質問も。

購入しているオーガニック製品/フードの、非オーガニック製品と比較した販売価格。これについては、90%以上が「高い」「やや高い」と回答したそうです。高額であると認識したうえでなお購入する。それこそが、オーガニックという“紋所”であり、権威性であり、良質なものを買っているという安心感を抱くゆえんなのかもしれません。

マクロでオーガニックをとらえよ

おさらいのつもりでおつきあいください。

そもそもオーガニックとは、化学肥料や指定外の農薬や遺伝子組み換え技術を使うことなくおこなう栽培農法や農業のことを指します。自然本来のもつ力を活用して作物を生産することで、生態系を崩さず人々の健康を守ることも重要視されています。

化学肥料に頼らず自然の力に任せたものづくり──。これだけ聞けば、なんだかとってもエッセンシャルで地球にいいことのようにも思えてきますよね。

こうしたシステムが確かなものであることを法律に基づいて証明するのが、日本農林規格等に関する法律(JAS法)です。詳細は農林水産省のサイトにてご確認ください。

 

ところで、アメリカには「Good Food」という定義があるそうです。直訳すれば「いい食べもの」。これはシカゴの非営利団体「FamilyFarmed(現:Good Food Catalyst)」が策定したものだそうで、いわく「オーガニックであり、ローカルであり、家族単位で経営する農家や中小零細の食品業者がつくっているもの」。さらには「持続可能で人道的で公正な慣行で作ることができていて、可能な限り地元で生産された食材・食品のこと」とも。

広義にオーガニックを捉えてみれば、環境の保全や自然との共生だけでなく、地域の文化をまもり人を大切にすることがひいては健全な社会を育む。そういった持続可能なエコロジーのサイクルのなかにあることをあらためて意識させられます。

「自分とつながる」ためのオーガニック

jardins.carya / Instagram

さて、40をとうに越えた筆者です。

食というテーマのなか、各地へと取材に赴き、生産者や料理人の話しをうかがい、そしていくつも記事にしてきました。オーガニックがなんたるかもそれなりに心得てはいますし、その厳格さも理解しているつもりです。

そんな私、最近思うところがあるのです。

正直オーガニックって、ちょっと敷居が高すぎやしませんか? だからこそのオーガニックだということは重々承知のうえで、こんな提案をさせてください。

21世紀も1/4を折り返そうというこの時代、「有機的」というオーガニックの定義とともに、本来organicが意味するもうひとつ「本質的」という部分にも目を向けて、オーガニックをあらためて解釈してみてはいかがでしょう。

たんにコトバ遊びにしたいわけではありません。作り手や発信する側だけでなく、受け手である私たちもここらへんでいちど、オーガニックときちんと向き合ってみませんか? 

ソーシャルグッドな取り組みを行なっているのが認証マークをもつブランドだけではないように、法律の枠組みにだけとらわれることなく、肩肘張らずもうちょっと気楽にオーガニックを噛み砕いてみたいのです。

そこで、2024年春、TABI LABOは『オーガニックの新解釈』をテーマに、現代を生きる私たちにとってのオーガニックとはどうあるべきか?を、本気で考えてみたいと思います。

ほんの少しだけ見方を変えることで、新しい文脈で捉え直しててみるだけで、もしかしたら今よりもっとオーガニックを身近に感じることができるかもしれません。自分や自分の大切な人の体をいたわるように、万物を生みだす自然にもっと目が向くようになるかもしれません。

自分と環境とのつながりを意識する。そんなオーガニックをともに見つけていきましょう。

Top image: © iStock.com/a-lesa
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。