Z世代を魅了する「ケミカルフリー」。ムーブメントの先にある未来とは?
最近、「ケミカルフリー」という言葉をよく耳にするけど、実際どんなものか、イマイチよくわからない……そんなふうに思っていませんか? 肌に優しいコスメや、環境に配慮した食品など、なんとなく良いイメージはあるけれど、具体的な定義やメリット、どんなアイテムを選べばいいのか、疑問は尽きないはず。
そんなケミカルフリー初心者のために、基本的な知識からZ世代のリアルな最新事情、そして未来予測まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。自分らしく、そして地球にも優しい選択をするための第一歩を、一緒に踏み出してみましょう!
そもそも「ケミカルフリー」って?
定義と注目される理由
ケミカルフリーとは、その名の通り「Chemical(化学物質)」が「Free(無い)」状態のこと。つまり、化学物質を含まない製品やサービスを指します。
しかし、私たちの生活は化学物質で溢れていて、完全に排除することはほぼ不可能。厳密な定義は難しく、「製造過程や使用時に、人体や環境への影響が少ないとされるもの」という広い解釈が一般的です。
そのため、ケミカルフリーと謳っていても、含まれる成分や製造方法はさまざま。オーガニック、ナチュラル、無添加といった言葉と混同されがちですが、明確な基準や認証制度があるわけではありません。大切なのは、それぞれの言葉の意味を理解し、自分に合った選択をすること。情報を見極める力を養うことが、ケミカルフリー生活の第一歩と言えるでしょう。
ケミカルフリーが生まれた背景
環境問題と健康への意識の高まり
ケミカルフリーという言葉が生まれた背景には、地球環境問題と健康への意識の高まりがあります。石油由来の化学物質は、大気汚染や水質汚染、地球温暖化など、様々な環境問題を引き起こす原因の一つとして、世界中で問題視されています。
また、人体への影響も無視できません。アレルギーやアトピー性皮膚炎などをはじめ、化学物質過敏症に悩む人は年々増加傾向にあり、私たちの健康を脅かす存在として認識され始めています。「もしかしたら、毎日使っているものが原因で、体調不良を引き起こしているのかも……」そんな不安を抱える人が増えたことも、ケミカルフリーへの関心を高める大きな要因となっていると言えるでしょう。
Z世代を魅了する、ケミカルフリー最前線
最新トレンドから世界の注目ブランドまで
ケミカルフリーへの意識の高まりは、とくにZ世代の消費行動に大きな変化をもたらしています。デジタルネイティブとして育った彼らは、情報収集能力に長け、環境問題や社会問題にも敏感。「サステナビリティ」や「エシカル消費」といった価値観を重視し、製品選びにもその姿勢を反映させるZ世代が増えています。
たとえば、国内では、ミネラルコスメブランド「エトヴォス(ETVOS)」が人気を集めています。肌への優しさはもちろん、環境配慮素材を用いたパッケージや、サステナビリティイベントの開催などを通して、Z世代の共感を呼び、支持が高まっています。また、オーガニックコスメやナチュラルコスメを扱う「コスメキッチン」も、Z世代に人気のショップ。オンラインカウンセリングやSNSでの積極的な情報発信など、デジタル世代に寄り添った戦略が支持されています。
海外に目を向けると、アメリカ発のナチュラルデオドラントブランド「Native」が注目を集めています。アルミニウムやパラベンなどの化学物質を含まない製品が、Z世代を中心に人気を博し、急成長を遂げているブランドです。ヴィーガンコスメブランド「Milk Makeup」も、動物性原料不使用、環境に配慮した製造プロセス、そしてSNS映えする個性的なパッケージで、Z世代の心を掴んでいます。
ケミカルフリー市場は、今後もさらなる拡大が見込まれています。「矢野経済研究所」の調査によると、2023年度の自然派・オーガニック化粧品市場規模は、前年度比103.9%の1,779億円に達したとの推測を発表。この成長を牽引しているのは、まさにケミカルフリーに関心の高いZ世代。企業は、Z世代の価値観やニーズを捉え、より安全で環境負荷の低い製品開発に力を入れていくでしょう。
ケミカルフリーは、単なるトレンドではなく、持続可能な社会を実現するための重要なキーワードと言えるのではないでしょうか。日々の生活の中で、私たち一人ひとりがケミカルフリーを意識した選択をしていくことが、持続可能な社会の実現につながっていく。そんな未来も、そう遠くはないのかもしれません。