時差ボケにさようなら。新発見の「タンパク質」が体内時計をリセットする
「海外旅行は好きだけど、時差ボケが辛い」。そんな悩みを抱える人も多いはず。長距離移動後のだるさや睡眠障害は、旅のテンションを大きく下げてしまう。しかし、最新の研究によって、そんな時差ボケを過去のものとする「体内時計ハック」の可能性が示唆されている。
時差ボケの原因は体内リズムの乱れ
私たちの体には、約24時間周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっている。睡眠や覚醒、ホルモン分泌など、さまざまな機能に影響を与えるこの体内時計。地球の裏側への移動など大きく生活時間帯が変わると、体内時計が狂い、時差ボケを引き起こしてしまうというカラクリだ。
体内時計を司るタンパク質「CK16」
ネイチャー系メディア「Earth.com」の記事によると、Duke-NUS Medical Schoolとカリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究チームは、体内時計を調節する「CK16」というタンパク質に注目。CK16の特定の部位にリン酸基が付着すると、体内時計への影響力が弱まることを発見した。
なんでも、CK16を標的にすることで、体内時計を意図的にリセットできる可能性を秘めているらしい。Duke-NUSのDavid Virshup教授は、「これらの部位に変異が生じると、概日リズムに変化が生じる」と述べている。
パフォーマンス向上や健康管理にも?
この研究の応用範囲は、時差ボケ解消だけにとどまらない。近年、アスリートのパフォーマンス向上やビジネスパーソンのTPマネジメントにも、体内時計を意識したアプローチが注目されている。体内時計を自在にコントロールすることで、睡眠の質を向上させたり、集中力を高めたりできる可能性も秘めているようだ。
未来のウェルネスツール
さらに、体内時計は睡眠障害、がんなどの病気、神経変性疾患など、さまざまな疾患にも関係している。CK16を標的とした治療法は、これらの疾患の予防や治療にも応用できる可能性を秘めている。Duke-NUSのPatrick Tan教授は、「体内時計を調整することは、時差ボケを治すだけにとどまらず、睡眠の質、代謝、そして全体的な健康を改善することだ」と強調する。
近い将来、一人ひとりの体内時計に合わせた、よりパーソナライズされた健康管理や医療が実現するかもしれない。その時差ボケの悩みから解放されるだけでなく、私たち自身の体と心をより深く理解し、より良く生きるためのヒントが、体内時計の中に隠されているのではないだろうか。
👀GenZ's Eye👀
普段生活していて、国を行き来しての時差ボケは経験し辛いが、学校の課題や資料作りによって睡眠不足や昼夜逆転が起こっている人は多い。睡眠の質というのは日頃のパフィーマンスに大きく影響するが、あまりそれを真剣に考えている人は少ない印象。今回の研究が進めば、旅行の範囲が広がるとともに、忙しなく生きる現代人の“特効薬”が生まれるかもしれない。