「目と目が合う」写真体験:“対話”を写す「Eye to Eye」カメラ

スマートフォンが普及した現代において、写真撮影はいっそう手軽なものになった。しかし、画面越しの一瞬を切り取る行為は、本来の“対話”を希薄にしているのかもしれない。

そんな現代人の心に問いかける、ユニークなカメラ『Eye to Eye』が誕生した。

©Yasuaki Matsuura

「液晶ディスプレイ」を排除した
カメラの再定義

デザイナー・Yasuaki Matsuuraによる作品『Eye to Eye』は、従来のカメラの常識を覆し、液晶ディスプレイを完全に排除したデザインを採用している。

レンズの代わりに存在するのは、“空洞”。撮影者はこの空洞を通して、肉眼で被写体と向き合い、コミュニケーションを取りながらシャッターチャンスを待つ。五感を研ぎ澄ますことで、被写体の存在をより強く感じ取ることができるという仕掛け。

撮影行為そのものに集中することで、写真を通して「体験」を共有し、記憶に深く刻むことを可能にする。

提示される、「撮る」ことの本質

©Yasuaki Matsuura

撮る側も撮られる側も、「撮る」という行為を再確認できるようなこのカメラ。今日アーティストのライブなどでもスマホを向けがちだが、『Eye to Eye』が提示するように撮ることの本質が「対話」なのだとしたら……。

そこに生まれる空気や時間そのものを噛み締めたくなる。記憶に刻むこと、何かを見ることについて再考したくなる。ファインダー越しではなく、直接向き合うことで生まれる心の通い合いは、他にはない貴重な体験となるのではないだろうか。

yasuaki__matsuura / Instagram

『Eye to Eye』が提示するのは、写真の本質、そして人と人との繋がりを見つめ直す機会なのかもしれない。デジタルの波に流されず、立ち止まって周りを見渡せば、そこには温かくて懐かしい風景が広がっているはずだ。

Reference: Eye to Eye
Top image: © Yasuaki Matsuura
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。