2024年、Googleでもっとも検索された「美術館」

スマートフォンで気軽に情報収集ができる今、訪れる目的が多様化しているのが美術館ではないだろうか。

アートマーケットの「Artnet」が、2024年、Googleでもっとも検索された美術館紹介している。その考察によると、検索された美術館には、美術作品の枠を超え、建築や社会問題、資金調達など、さまざまな側面で注目を集めた美術館がランクイン。従来の枠組みを超え、進化を続ける美術館のトレンドが見えてくる。

検索数TOP3に見る
美術館の新潮流

同記事で紹介されたGoogle検索データによると、2024年にもっとも検索されたのはイギリスの「大英博物館」。2位には、革新的な建築や社会問題をテーマにした展示で話題を呼んだ、ブラジル「サンパウロ美術館」がランクイン。そして3位は、アメリカ唯一のランクインで巨額の資金調達による改名も話題となった「シカゴ科学産業博物館」。という結果に。

1位大英博物館

ロンドン

2位サンパウロ美術館アシス・シャトーブリアン
3位シカゴ科学産業博物館シカゴ
4位国立人類学博物館メキシコシティ
5位国立プラド美術館マドリード
6位シウダー・デ・ラス・アルテス・イ・ラス・シエンシアスバレンシア
7位ルーヴル美術館パリ
8位アムステルダム国立美術館アムステルダム
9位メルセデス・ベンツ博物館シュトゥットガルト
10位シュテーデル美術館フランクフルト

 

「体験」をデザインする空間へ
感性を刺激する美術館

サンパウロ美術館の注目度上昇の背景には、建築の存在も見逃せない。リナ・ボ・バルディ設計による「ガラスのイーゼル」は、斬新な展示方法で知られ、来場者を作品の世界へと誘う。

近年、美術館建築自体が“映える”フォトジェニックスポットとしても人気だ。建築を通して感性を刺激する空間デザインは、美術館体験をより深く印象的なものにするための重要な要素と言えるだろう。

サステナビリティ、デジタル化……
美術館の進化は続く

美術館を取り巻く変化は、空間デザインだけにとどまらない。シカゴ科学産業博物館は、ヘッジファンド経営者Ken Griffin氏からの巨額寄付にともない、「グリフィン科学産業博物館」へと改名された。美術館の命名権売却は、資金調達の新たな方法として注目されているが、「Artnet」は「Googleはこの名称変更を尊重していないようだ」と、皮肉交じりに現状を伝えている。資金調達の多様化が進むいっぽう、美術館のアイデンティティとのバランスが問われていると言えるだろう。

美術館は今、サステナビリティデジタル化といった課題とも向き合っている。環境負荷を低減するための取り組みや、オンラインでの作品公開など、進化を続けている。

もはや美術館は、作品を鑑賞するだけの場所ではない。感覚を開放する空間デザイン、社会とのつながり、そして未来への取り組み。美術館は、私たちに新しい発見と感動を与え続ける「体験」を提供する場へと進化し続けているのではないだろうか。

Top image: © iStock.com/shironosov
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。