「お酒離れ」してるわけじゃない。Z世代が考える、お酒とのリアルな距離感
「最近の若者は、お酒を飲まない」なんて言葉を耳にする機会も増えた世の中、たしかに、一昔前と比べれば若者のアルコール離れが進んでいるというデータも少なくない。
とはいえZ世代の筆者からすれば、そこまでの実感もなく。そんななか、「株式会社10」が運営するコミュニティ「toiro cafe」に登録するZ世代を対象とした、お酒に関する興味深い調査結果が興味深い……!
定番化しつつある「月1飲酒」
自分のペースでお酒を楽しむZ世代
同社の調査によると、回答者の約8割が「月1回以上」お酒を飲酒していることが明らかに。さらに、そのうち約半数は「週1回以上」お酒を楽しんでいるという。いっぽうで、「全く飲まない」と回答したのはわずか5%にとどまる結果になった。
この結果からも、Z世代は「お酒を全く飲まない」世代というよりも、むしろ、従来型の「毎日お酒を飲む」というスタイルから、自分のペースで「適度にお酒を楽しむ」スタイルへと変化している様子がうかがえる。
ビール離れは本当?
「低アルコール飲料」という選択肢
同調査の結果で興味深いのは、Z世代が支持するお酒の種類。
普段飲むお酒について尋ねたところ、もっとも多かったのは「チューハイ」(41人)で、「ビール」と「果実酒」が同率2位(25人)という結果に。
若者のアルコール離れと合わせて、「ビール離れ」という言葉も近年耳にする機会が増えたが、この調査結果を見る限りも、Z世代においてその傾向が顕著に表れ始めていると言えるだろう。
では、なぜZ世代はビールよりもチューハイを選ぶのだろうか?
考えられる要因のひとつとして、アルコール度数が低めの商品や、糖質ゼロ・カロリーオフの商品などの健康に配慮した商品が増加している点が挙げられる。
ストロング系は、もう必要ない?
Z世代がアルコールに求める「ほろ酔い」
アルコール度数に関する意識調査では、「普段、ビールやチューハイを飲む際、どの程度のアルコール度数のものを選ぶか」という質問に対し「平均的なアルコール度数」と答えた人が最も多い結果に。
そして次に多かったのは、「低アルコール度数のもの」という回答(16人)。いっぽうで、「高アルコール度数のもの」を選んだ人は、なんと0人という結果になったのだ。
この結果から、Z世代は、お酒に「強い酔い」を求めているのではなく、「ほろ酔い」や「お酒そのものの味わい」を楽しむことを重視している傾向が推測できる。
無理に強いお酒を飲むのではなく、自分の体質や好みに合わせて、心地よいと感じるお酒を、自分の意志で選択しているZ世代。
彼らにとってお酒とは、酔うためのツールではなく、コミュニケーションを円滑にしたりリラックス効果をもたらしたりするための、あくまでも嗜好品のひとつに過ぎないのかもしれない。
これからの時代のお酒との距離感
今回の調査結果から、Z世代の間では従来の「お酒をたくさん飲む」ことを良しとする価値観は見られず、「自分のペースで、心地よく楽しめるお酒」を重視する傾向が見て取れる。
ストロング系のお酒を避け、低アルコール飲料やノンアルコール飲料を楽しむ人が増えているのも、そうした価値観の表れと言えるだろう。
多様な価値観が認められる現代において、お酒との付き合い方もまた、十人十色だ。「お酒を飲むこと」自体を強いるのではなく、それぞれのペースや考え方を尊重する姿勢が、これからの時代にはより一層求められるのではないだろうか。