Googleも訴訟に? 知らないと損する「エイジズム」問題

「若いんだからもっと頑張れ」「年配者なんだから分別を持て」……こんな言葉を耳にしたことはありませんか? それはもしかしたら、エイジズムかもしれません。近年、ダイバーシティ&インクルージョンが叫ばれるいっぽう、年齢による偏見や差別は、依然として社会に根強く存在しています。

とくに、社会に出たばかりのZ世代にとって、エイジズムは無視できない問題です。知らないうちに自分も加害者、あるいは被害者になっている可能性も。そこで、Z世代が知っておくべきエイジズムの実態に迫り、具体的な事例や対策方法を紹介します。

エイジズムって?
「年齢」で人を判断するのはもう古い

【エイジズムの定義】無意識の偏見に気づく第一歩

エイジズムとは、年齢に基づく偏見や差別のこと。年齢だけで個人や集団をステレオタイプ化し、能力や価値を決めつけてしまうことです。「若い人は体力がある」「高齢者は頑固だ」といった固定観念にとらわれ、個人の個性や能力を見過ごしてしまうことにも繋がります。

【「老害」「若いもんは」……】危険なレッテル貼りに要注意

エイジズムは、「老害」「最近の若いもんは」といった言葉にも現れます。これらの言葉は、特定の年齢層に対するネガティブなイメージを植え付け、世代間の対立を深める原因にもなりかねません。年齢に関わらず、互いを尊重し、個性を認め合うことが大切です。

【世界規模で問題視されるエイジズム】GoogleやMetaも訴訟対象に?

エイジズムは日本だけの問題ではありません。世界中で、年齢による差別が問題視されています。現にアメリカでは、GoogleやMetaなどの大手IT企業が、年齢差別を理由に集団訴訟を起こされた事例もあります。

たとえばGoogleは2019年、同社が40歳以上の求職者に対して組織的に差別をおこなったとして、227人が集団訴訟を起こし、その和解金として1100万ドルを支払ったことでエイジズム問題が明るみになりました。

なぜエイジズムは起こる?
社会構造と無意識バイアス

エイジズムは、歴史的・社会的な背景、そして私たちの中に無意識に存在する「バイアス」が複雑に絡み合って生まれるものと考えられます。

少子高齢化社会ニッポン──深刻化する世代間ギャップ

世界有数の高齢化社会である日本では、高齢者と若者の割合のアンバランスさが顕著です。世代間の価値観ライフスタイルの相違が大きくなり、相互理解が難しくなっている現状があります。

メディアの影響──ステレオタイプなイメージの拡散

テレビドラマ、映画、広告……私たちが日々触れているメディアの影響も無視できません。特定の年齢層に対するステレオタイプなイメージが繰り返し描写されることで、私たちは無意識のうちに偏見を植え付けられている可能性も考えられます。

固定観念の打破──異なる世代の共存を目指して

エイジズムを克服するためには、まず、年齢に対する固定観念を捨て去ることが重要です。異なる世代がお互いの価値観を認め合い、それぞれの強みを活かしながら共存できる社会を目指すべきではないでしょうか。

「あるある」だけじゃない!
Z世代が直面する職場のエイジズム

職場におけるエイジズムはZ世代にとって、想像以上に身近な問題です。

「意見を聞いてもらえない」「経験不足という決めつけ」──若手社員のリアルな悩み

「会議で意見を言っても、若手だからという理由で真剣に取り合ってもらえない」「新しい仕事に挑戦させてほしいと訴えても、経験不足だと断られてしまう」。こんな経験、ありませんか?入社した年や実年齢によって評価や対応が変わるといったケースがないとは限りません。ですが、エイジズムは若者だけが被害者とも限りません。上司や先輩社員もまた、「最近の若者は……」といった固定観念にとらわれ、コミュニケーションに苦労しているケースもあるようです。

年齢フィルター、もう古い?──変化の兆し

明るい兆しもあります。近年、企業の採用活動において、年齢にとらわれない採用を行う動きが広がりつつあります。雇用対策法改正に伴い、政府はすでに2007年より募集・採用における年齢制限禁止を義務化。これは、年齢ではなく、個人の能力や適性に応じた採用を行うことで、多様な人材の活躍を促進することを目的としたもので、今では多くの企業が年齢によるフィルタリングを廃止するようになりました。

エイジズムのない未来へ
Z世代が変える、社会の常識

デジタルネイティブ世代として、Z世代は新しい価値観やテクノロジーを駆使し、エイジズムのない社会を創造していくことができます。

多様性を受け入れる──柔軟な視点と相互理解を

まずは、自分自身が年齢に対する固定観念にとらわれていないか、振り返ってみましょう。異なる世代の考え方を理解しようと努め、それぞれの個性や価値観を尊重することが大切です。

コミュニケーションを活性化──世代を超えた対話を

積極的にコミュニケーションを取り、世代間ギャップを埋める努力をしましょう。相手の立場に立って話を聞き、自分の意見も率直に伝えることで、相互理解を深めることができます。

社会貢献やボランティアで視野を広げる──多世代との交流の機会

社会貢献活動やボランティア活動に参加することで、多様な世代の人々と交流する機会を持つことができます。異なる世代の価値観や経験に触れることで、視野を広げ、自分自身の成長にも繋がるでしょう。

AIによる公平な評価──テクノロジーが変える未来

AIやビッグデータなどのテクノロジーは、エイジズム問題解決の糸口となる可能性を秘めています。年齢や性別といった属性に左右されない公平な評価システムの構築が期待されています。

Top image: © iStock.com / skynesher
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