Z世代の新たな娯楽“冷蔵庫のタバコ”とは?
午後の特定の時間、何かで気分を切り替えたい。そんな時に無性に欲しくなるのが“冷蔵庫のタバコ”。
もちろん本物のタバコのことではなく、これはZ世代の間で広まる、キンキンに冷えたダイエットコークを指す新しいスラングだ。
TikTokで新手の「タバコ休憩」がトレンドに
この言葉が広まったきっかけは、あるTikTokユーザーの投稿だった。
@reallyrachelrenoが「誰かがダイエットコークを“冷蔵庫のタバコ”と呼んでいるのを聞いて、これ以上ないほどしっくりきた」というキャプションと共に冷えた缶を開ける動画は、瞬く間に350万再生を超える大バズに。
多くのユーザーから「すごくリアル」「これで一日を乗り切れる」といった共感の声が寄せられた。
これは、Z世代にとっての新しい「タバコ休憩」のようだ。
仕事や勉強の合間に一息つくための、依存性のあるご褒美ということらしい。完璧な温度に冷やされたダイエットコークを指す「クリスピー」という言葉も流行しており、着実に浸透している様子を伺わせる。
コーラはマルボロ、ゼロコーラはアメスピetc.
飲み物とタバコの銘柄を重ねるトレンドも
このミームはさらに進化し、他の飲み物も特定のタバコの銘柄に例えられているらしい。
火付け役のユーザーによれば、ダイエットコークはパーラメント、通常のコカ・コーラはマルボロ・レッド。そしてコーク・ゼロはアメリカンスピリットであるらしい。
他のダイエットソーダはメンソール(軽蔑的な意味合いで)、ガラス瓶のコカ・コーラは葉巻、といった具合で、どうやら各飲料が持つイメージを、喫煙カルチャーの符牒に重ね合わせているようだ。
「クリーンな生活」の終わりとカルチャーの揺り戻し
なぜ今、ダイエットコークがこのような形で再評価されているのか。
スナックカルチャーを分析するライターのAndrea Hernández氏は、コカ・コーラ社が巧みに利用する「ノスタルジー」が背景にあると指摘する。夏の太陽の下で飲む冷えた缶。そのイメージが、多くの人々の記憶と結びついている。
同時に、ポップカルチャー全体にも変化の兆しが見える。
『The New York Times』が報じたように、Addison RaeやLordeといったアーティストの歌詞には、再びタバコがクールなアイテムとして登場し始めた。
健康志向の「クリーンガール」トレンドが終わりを告げ、プロテインウォーターのような完璧な健康志向から少し距離を置いた、不完全でエッジの効いたものへの揺り戻し。その流れの中で、「冷蔵庫のタバコ」は多くの人々の心をつかんでいるのかもしれない。