インド・デリーで大気汚染が深刻化|排出ガス規制強化で1万台が不合格に

インド有力紙「The Economic Times」によると、首都デリーでは深刻化する大気汚染への緊急対応として強力な規制が実施されており、わずか4日間で21万2千件以上のPUC(Pollution Under Control)証明書が発行され、約1万台の車両が排出ガス基準を超えて不合格となったそう。

これは、GRAP-IV(段階的緊急行動計画フェーズIV)発令後に導入された厳格な大気汚染対策の一端を示しているのではないでしょうか。

PUC証明書発行の急増と車両検査の厳格化

GRAP-IVの発令後、「PUCがなければ燃料を供給しない」というルールが施行され、わずか4日間で20万台以上の車両がPUCテストを受けました。このうち、約1万台が排出ガス基準に適合せず、基準違反が浮き彫りになりました。

汚染産業およびオフィスへの厳格な措置

デリー環境大臣は、「在宅勤務指令」を無視する産業や民間オフィスに対して、厳しい措置を講じることを警告しました。汚染を引き起こす産業は、即座に閉鎖される可能性があり、オンラインでの排出ガス管理(OCM)申請期限である2025年12月31日までに申請しない場合も、厳罰の対象となったようです。

違法産業の摘発と浄化センターの近代化

デリー市当局とデリー環境汚染管理委員会は、違法かつ無許可で操業している産業の特定を共同で進めています。これらの産業は閉鎖の対象に。また、PUCセンターは最新鋭の高容量機器を導入し、近代化が進められています。これにより、証明書発行の遅延を削減し、より正確な排出ガス検査の実施を目指しています。

粉塵対策と水域再生への取り組み

デリーでは、粉塵の発生を抑制するために、24時間体制での道路清掃と散水が実施されています。さらに、埋立地では大規模なバイオマイニング(有機廃棄物の生物学的処理)作業が継続されており、毎日約35,000トンの過去の廃棄物を処理。また、失われた、あるいは不法占拠された水域の再生計画も進められており、首都の全体的な環境改善に貢献することが期待されています。

デリーの空気質改善に向けた多角的なアプローチの重要性

今回のPUC発行数と車両検査の結果は、デリーにおける大気汚染対策が一定の進展を見せていることを示唆しています。しかし、1万台もの車両が基準を満たさないという事実は、依然として多くの車両が環境基準に達していないという根本的な課題を浮き彫りに。

単に証明書を発行するだけでなく、車両の定期的なメンテナンスと排出ガス基準の遵守を徹底するための、より包括的なアプローチが必要でしょう。

GRAP-IV発令の意図と今後の持続可能性

GRAP-IVの発令は、大気汚染が深刻なレベルに達した際の緊急対応策として効果的ですが、その持続可能性が問われます。

在宅勤務指令や産業への罰則強化は、一時的な汚染抑制には寄与するものの、経済活動とのバランスや、これらの措置が長期的に実施可能かどうかを検討する必要があります。また、政府による継続的な監視と、市民の意識向上および協力が、デリーの空気を長期的に清潔に保つための鍵となるでしょう。

テクノロジー活用と市民参加による未来への展望

PUCセンターの近代化や、道路清掃・散水、バイオマイニングといった取り組みは、テクノロジーの活用が環境改善に不可欠であることを示しています。今後は、AIやIoTを活用したリアルタイムでの汚染監視システムの強化、電気自動車(EV)の普及促進、公共交通機関の利便性向上などが、より抜本的な解決策となり得ます。

市民一人ひとりが環境問題への意識を高め、日常生活の中でできることから取り組む姿勢が、デリーの未来の空気を左右すると言えるでしょう。

画像: AIによる生成
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