カラオケも“サビだけ”の時代…?JOYSOUNDの『サビカラ』ランキング
JOYSOUNDが発表した『サビカラ』のランキングは、現代人のカラオケの楽しみ方がいかに変化しているかを如実に物語る。
イントロを飛ばし、一番盛り上がるサビだけを歌う──Z世代を中心としたタイパを重視するスタイルは、カラオケにまで広がりを見せているようだ。
サビだけカラオケ、“サビカラ”。
ランキングに見る、SNS時代のヒット曲
総合ランキングの首位に輝いたのは、CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」。
原曲は4分以上あるのに対し、『サビカラ』ではわずか38秒で歌い切れるという。この曲をはじめ、FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」など、TikTokで話題になった楽曲が上位にランクインしているのが特徴的だ。
この背景には、SNSでの楽曲との出会い方が大きく影響していると考えられる。ショート動画で繰り返し流れるのは、決まって最もキャッチーなサビの部分。そのため、「サビしか知らない」という人も少なくない。
そうした層にとって、知っている部分だけを歌って盛り上がれるサビカラは、まさにうってつけの機能と言えるだろう。また、Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」のように、歌唱難易度の高い曲でもサビだけなら挑戦しやすいという利点も、利用を後押ししているようだ。

世代を超えて響く「エモい」リバイバルヒット
年代別のランキングを見ると、さらに興味深い傾向が浮かび上がる。2000年にリリースされたポルノグラフィティの「サウダージ」が、当時を知らないはずの10代・20代で1位を獲得するなど、全世代で高い人気を誇っているのだ。レミオロメンの「粉雪」といった楽曲も同様に、世代を超えて歌われている。
これは、近年続くリバイバルヒットの潮流と無関係ではないだろう。
当時の若者文化を知らないZ世代にとって、2000年代の楽曲が持つ独特のメロディラインや感傷的な歌詞は、むしろ新鮮な「エモさ」として響くのかもしれない。動画サイトでのカバーや「歌ってみた」投稿をきっかけに、過去の名曲が新たな命を吹き込まれ、世代を超えた共通言語として機能している様子がうかがえる。

タイパがもたらすカラオケの新たな価値
『サビカラ』の登場は、カラオケが単に歌をじっくり楽しむ場から、より多様なコミュニケーションを促す場へと変化していることを示唆している。たくさんの曲をスピーディーに共有し、一体感を楽しむ。あるいは、採点機能を使い、ゲーム感覚で競い合う。
そうした楽しみ方が、タイパという現代的な価値観と結びついた結果と言えるだろう。
音楽の消費スタイルがサブスクリプションサービス中心になり、ハイライト部分だけを聴く人も増えている。カラオケの楽しみ方が、そうした音楽との付き合い方の変化を反映したものだと考えられる。
限られた時間の中で、いかに密度の濃い体験をするか。サビカラの浸透は、そんな現代人の欲求がカラオケというレジャーにもたらした、必然的な進化なのかもしれない。






