噛んだガムがDNAテストに。Mars Wrigleyの「白血病ドナー登録促進」キャンペーン

アメリカで血液がんの治療を必要とする患者の多くは、幹細胞や骨髄のドナーに依存しているという。

しかし、ドナー登録の認知度の低さや、検査キットをオンラインで申し込む手間などが、登録の障壁となっているようだ。

こうした課題に対し、食品大手のMars Wrigleyと骨髄バンク「Gift of Life」が共同で、新たなキャンペーンを開始したと『Contagious』が報じている。

チューインガムをDNA採取ツールに

「Hero Gum」と名付けられたこの共同プロジェクトは、5分間噛んだチューインガムが、ドナー登録のための有効なDNAサンプルになるという知見から着想を得たもの。

広告代理店のadam&eveDDB New Yorkと共に、Wrigley社のガム「Doublemint」のパッケージをDNA採取キットへと作り変えた。

パッケージは「Hero Gum」という名称に変更され、若い世代のドナーにアピールするデザインが施されたという。このキットは、アメリカ国内のイベント会場や大学のキャンパスなどで配布される。

ドナー希望者は、ガムを噛んだ後、キットに含まれる封筒に入れてGift of Lifeのオフィスに送付。その後、ガムは研究所で検査される仕組みだ。

2025年8月1日には、ニューヨーク・メッツの野球の試合会場で、数百個のHero Gumキットがファンに配布されたとのこと。

© Contagious/YouTube

製品の再利用による社会貢献

『Contagious』の記事は、このキャンペーンが製品を社会貢献のために再利用する優れた事例であると指摘している。

従来の綿棒によるDNA採取に比べ、チューインガムという身近な製品を用いることで、ドナー登録の心理的なハードルを下げているという。

adam&eveDDB New Yorkのクリエイティブディレクター、Mussashi Shintaku氏は、「チューインガムを噛むというシンプルで身近な行為を、パワフルで命を救う行為に変える」と声明で述べている。

若い世代へのアプローチ

また、このキャンペーンは若い世代への訴求を意識して、楽しいパッケージデザインを採用し、ドナーがヒーローのような大きな役割を果たすことを強調するメッセージを発信。

社会問題に取り組む際に、罪悪感に訴えるのではなく、ユーモアを交えたポジティブなアプローチを取っている点も特徴的だ。

Wrigley社にとっては、この取り組みを通じて若い層と接点を持ち、社会貢献活動と自社ブランドを結びつける機会にもなっているのかもしれない。

Top image: © iStock.com / Eva-Katalin
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