Canvaの年次調査:Z世代が“ビジュアルな働き方”を主導。神経科学も優位性を裏付け
Canvaが発表した年次調査レポート「ビジュアルコミュニケーションの現在地」によって、Z世代が望む働き方と、多くの企業が採用する従来型の働き方との間に、大きな乖離が存在することが明らかになった。
働くZ世代の89%が「視覚的に業務を行う方が高い成果を上げられる」と考える一方、「デザイン主導」を自負する企業はわずか22%にとどまるという。
脳活動の追跡で証明された「ビジュアルの力」

この調査では、神経科学の手法である定常状態トポグラフィー(SST)を用いて、リアルタイムの脳活動を追跡。
その結果、質の高いビジュアルコンテンツは、単調なデザインのテキストと比較して、記憶の符号化(エンコード)速度を74%向上させることが科学的に実証されたとのこと。
CanvaのB2Bマーケティング責任者であるEmma Robinson氏は、「人間の脳が情報を吸収する仕組みと、多くの職場で行われている従来型コミュニケーションとの間には、明らかな不一致が見られます」と指摘している。
調査対象となったプロフェッショナルの91%も、「視覚的表現はテキストよりも効果的にアイデアを伝えることができる」と回答したようだ。
Z世代が求める、創造性を阻害しないツール

Z世代は、キャリア形成においてビジュアルコミュニケーションのスキルが不可欠(82%)だと認識しており、AIの積極的な活用(61%)によってその能力が向上すると考えている。
しかし、現実には99%が仕事における創造性を阻害する障壁の存在を感じており、その多くが非効率なツールを理由に挙げたという。
この乖離は、Z世代(91%)と管理職(82%)の双方が、クリエイティブな業務のために承認されていないツールを使用しているという実態にもつながっているようだ。
現在、多くのチームがビジュアルプロジェクトのためだけに、週平均9〜10ものプラットフォームを使い分けているという状況も明らかになった。
世代間のギャップを埋める企業の未来
ビジネスリーダーの87%が、ビジュアルコミュニケーションの不足が遅延や混乱につながると回答しており、課題は広く認識されている。
一方で、従業員の働き方に合わせてインフラを整備した企業では、複雑なアイデアの伝達が効率化(66%)し、ブランドの結束力が強化される(61%)といったメリットが報告されているとのこと。
Canva Japanのカントリーマネージャーである高橋敦志氏は、「Canvaのようなツールは、テキスト中心のやり取りを視覚的に整理・表現することで効率を高め、様々なチームがスムーズに連携できるようサポートします」と述べている。
AIが業務のスピードを上げ、ビジュアルが多様な世代をつなぐ現代において、この変革を受け入れる企業が次世代の働き方をリードしていくことになりそうだ。






