アメリカで広がる「旅行異形症」とは?SNSが煽る不全感、7割の人々が感じると回答
アメリカ人の約7割が、他人と比較して自分は十分に世界を見ていないと感じる“travel dysmorphia(旅行異形症)”に悩んでいるという調査結果が明らかになった。
生涯で旅した量に満足していると回答した人は、半数以下の48%にとどまったとのこと。
これは米国のメディア『New York Post』が報じたもので、調査はScenic Groupの依頼によりTalker Researchが実施した。
Z世代に顕著なSNSの影響
この感情の主な引き金となっているのは、ソーシャルメディアのようだ。
回答者の35%が友人や家族の旅行投稿を、32%が同僚との旅行に関する会話を、不全感を抱くきっかけとして挙げている。
特にZ世代ではその影響が顕著で、47%がインフルエンサーやYouTubeのコンテンツが旅行異形症の一因になっていると回答。
さらに、55%がソーシャルメディアによって人生全体で「遅れをとっている」と感じると答えたという。
Z世代の26%とミレニアル世代の27%は、自身の旅行経験の乏しさ、あるいはそう認識されることについて、恥ずかしさを感じていることも明らかになった。
旅への障壁と「いつか」という意識
人々が旅行の目標を達成できない主な障害としては、費用(63%)、仕事の都合(19%)、家族の責任(19%)などが挙げられた。
また、Z世代の22%とミレニアル世代の16%は、まだ時間は十分にあるという「いつか」という考え方が、旅行を先延ばしにする理由になっていると回答している。
調査によると、アメリカ人の約3分の1(32%)は一度も国外に出たことがないが、そのうち海外渡航の意思がないのはわずか12%で、平均して22カ国の訪問を希望しているというデータもある。
「バケットリスト」から「リビングリスト」へ
しかし、旅行に対する考え方にも変化の兆しが見られる。
ベビーブーマー世代はより小規模で達成可能な旅行に、X世代はより意味のある目的地に焦点を当てる傾向があるようだ。
Z世代は友人や家族との旅行を優先し(21%)、あらゆる機会に「イエス」と答える姿勢(17%)が特徴的。
Scenic Group USAのKen Muskat社長は、「人々は『バケットリスト(死ぬまでにしたいことリスト)』という考え方から離れつつあります」と指摘。
将来のために経験を先送りするのではなく、今すぐ人生に旅行を組み込む「リビングリスト」へと意識が移行していると分析しているとのこと。






