二日酔いの救世主。トルコの伝統的なピクルスジュース「トゥルシュ・スユ」とは
トルコでは、飲み会の後に脂っこいピザではなく、一杯の「トゥルシュ・スユ」で夜を締めくくるのが定番だという。
日本語で「ピクルスジュース」を意味するこの飲み物は、何十年にもわたって二日酔いの特効薬として親しまれてきた、プロバイオティクス(善玉菌)豊富な伝統的な健康飲料だ。
これは米国の食専門メディア『Food & Wine』が報じたもの。
ただのピクルス液ではない、奥深い味わい
トゥルシュ・スユは、単に瓶に残ったピクルスの漬け汁を飲むのとは訳が違う。
トルコのピクルス専門店では、いつでも注文できるドリンクメニューとして確立されており、ビーツやニンジン、キャベツなどを漬け込んだ塩水から作られる。
ニューヨークのレストランでヘッドシェフを務めるMelih Turgay Yilmaz氏によると、その味わいはシャープで塩味が効いており、重厚な食事の口直しにもなるという。
注文すると、カップに細かく刻んだピクルスと、鮮やかなマゼンタ色の液体が注がれる。この色は、ビーツや赤ニンジンに由来するものだ。
オスマン帝国時代から続く食文化
トルコ料理におけるピクルスの存在は、オスマン帝国時代にまで遡る。
ケバブや煮込み料理の付け合わせとして欠かせないピクルスへの愛情は、飲酒文化にも深く根付いている。
Yilmaz氏によれば、塩分と酢を含むトゥルシュ・スユは、電解質を補給し、水分補給を助けると考えられている。
そのため、イスタンブールのバーやナイトクラブの近くでは、深夜まで営業するピクルススタンドが多く見られるという。
文化的遺産としての価値
二日酔いを和らげるだけでなく、多くのトルコ人にとって、トゥルシュ・スユは自らの文化とつながるための飲み物でもある。
Yilmaz氏は、「それは免疫システムのための強壮剤であり、時代を超えた食の伝統と人々を結びつける、爽やかでエネルギッシュな飲み物です」と語る。
発酵という古くからの知恵が詰まったこの一杯は、現代の飲み手とオスマン帝国時代の食文化を結びつける、トルコの食遺産の象徴と言えるかもしれない。






