今治で自閉症の10歳が描き続けた「エアコン」個展開催

愛媛県今治市で、自閉症スペクトラムの特性を持つ小学4年生・越智葵さんによる個展が開催されている。

会場は地元金融機関である伊予銀行 今治支店内のギャラリー呑吐樋で、展示は2026年3月4日から3月30日まで行われる。

タイトルは『葵電機展からの軌跡』。

2歳の頃からエアコンに強い関心を抱き、これまでに5,000点以上の作品を描き続けてきた軌跡が紹介される内容となっている。会場にはエアコンをモチーフにした作品に加え、これまでのスケッチノートや活動の歩みを伝える資料も並ぶ。

日常の中にある“機械”というテーマを、独自の視点で掘り下げた作品群は、いわゆる美術教育の枠にとらわれない表現として注目を集めている。

全国放送をきっかけに企業との交流へ

葵さんの活動は、2025年に開催された初の個展を契機に広く知られるようになった。特にNHK おはよう日本での全国放送をきっかけに反響が拡大し、その純粋な探究心が多くの共感を呼んだ。

その後、パナソニック株式会社の社員が関心を寄せ、今治での出前授業が実現。さらに2026年4月には、群馬県にあるエアコン工場の見学も予定されており、子どもの興味が企業とのリアルな接点へとつながっている。

作品制作が単なる個人の表現にとどまらず、社会との接点や学びの機会を生み出している点が、この取り組みの特徴といえる。

© 社会福祉法人来島会

「好き」がコミュニケーションと成長を生む

葵さんにとってエアコンを描くことは、遊びであり学びであり、そして他者とつながる手段でもある。図鑑やインターネットで構造を調べ、段ボールで再現するなど、表現は多岐にわたる。

個展を重ねる中で、自分の思いを言葉で伝える機会も増え、「好き」という感情が本人の世界を広げている。こうした変化は、支援を行う社会福祉法人 来島会が掲げる「一人ひとりの興味を尊重する」という理念とも重なる。

今回の展示は、作品そのものだけでなく、「興味が人を成長させる力」を来場者に伝える場としても位置付けられている。

日常にある何気ない対象でも、強い関心と継続によって独自の価値へと昇華される。そのプロセスこそが、多くの人に新たな視点をもたらしている。

© 社会福祉法人来島会

【開催概要】

タイトル: 葵電機展からの軌跡~「すき!」からはじまったぼくだけの物語

展示期間: 2026年3月4日(水)~3月30日(月)

場所: 伊予銀行今治支店 1階 ギャラリー呑吐樋(どんどび)(住所:今治市常盤町4丁目2-1)

展示内容:

●エアコンをモチーフにした作品およそ10点のほか、これまで描いたノート類

●昨年8月に実施した初展覧会の様子や、パナソニック株式会社様による交流授業の様子などのパネル展示



【越智 葵(おち あおい)さんプロフィール】

自閉症スペクトラム・知的障害を抱える小学4年生。

過去には「SDGs 障がい者貝絵アート 展示会・コンテスト2023 」において最優秀賞受賞歴を持ちます。

2歳で自宅の天井に取り付けられたエアコンをじっと見上げ、心を奪われて以来、その探究心は尽きることがありません。

スケッチブックへのスケッチから始まり、図鑑やインターネットで構造を調べ、ついには段ボールでエアコンを再現するなど、その表現方法は多岐にわたります。

彼にとってエアコンを描くことは最高の「遊び」であり「学び」であり、周囲とのコミュニケーションの窓口となっています。前回の個展を機に、自分の想いを言葉にして伝える場面が増えるなど、「好き」という純粋な気持ちが彼の世界を豊かに広げています。

© 社会福祉法人来島会
Top image: © 社会福祉法人来島会
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