子どもが動き出す声かけとは?「脳のブレーキ」に寄り添う新しい親子コミュニケーション

株式会社パステルコミュニケーションが、無料小冊子「指示ゼロで動き出す声かけ」の配布を開始しました。

新学期の朝支度や宿題で「早くして」を繰り返してしまう親子の悩みに、脳科学の視点から応える一冊。「やる気がないから動けない」のではなく、「脳のブレーキのかかり方」に原因があるという発想の転換が、多くの家庭に届きそうです。

「やる気」ではなく「脳の特性」

朝の支度が進まない。宿題に取りかかれない。ゲームや動画をやめられない──。新学期を迎えた家庭で、こうした場面は珍しくありません。つい口をついて出る「早くして」という言葉。同社の発表によれば、この小冊子が着目するのは、子どもが動けない原因を「やる気」の問題として片づけるのではなく、「脳のブレーキのかかり方」として捉え直すアプローチです。

小冊子を手がけたのは、同社代表の吉野加容子氏が開発した「発達科学コミュニケーション」のトレーナーであるにいなあかね氏。かつて「学校一の問題児」と呼ばれた息子と向き合い、声かけを変えたことでわずか3週間で問題行動が落ち着いたという自身の体験がベースになっています。

ここで言う「脳のブレーキ」とは、近年の発達心理学や脳科学で注目されている「実行機能(Executive Function)」と深く関わる概念だと考えられます。実行機能とは、目標に向かって行動を計画し、不要な衝動を抑え、注意を切り替える脳の働きのこと。いわば、頭の中の「交通整理係」のような存在です。この機能の発達には個人差が大きく、特に発達グレーゾーンと呼ばれる子どもたちは、環境の変化によってブレーキのかかり方が大きく揺れ動くことがあります。

親子の悪循環を断ち切る視点

興味深いのは、この小冊子が子どもだけでなく、親自身の苦しさにも目を向けている点です。

「なんで動けないの?」「私の言い方が悪いのかな」──同社によれば、新学期には特にこうした自責の念を抱える母親が増えるとのこと。子どもが動かないことへの焦りが、声を荒げる原因になり、それがさらに子どもの脳を「防御モード」にしてしまう。結果として、親子ともにエネルギーを消耗する悪循環が生まれてしまいます。

実際、近年の複数の研究が、養育ストレスと子どもの実行機能の発達には密接な関係があることを示しています。家庭内のコミュニケーションの質が子どもの実行機能に影響を与えるという知見は、もはや一部の専門家だけのものではなく、世界各国の大規模調査で繰り返し確認されている傾向です。温かく肯定的な関わりが子どもの脳の「交通整理係」を育て、逆に対立的・指示的なやりとりがその発達を阻害する可能性がある──こうした研究の蓄積は、「早くして」という言葉の持つ重みを改めて考えさせてくれます。

「指示ゼロ」という逆説の意味

小冊子のタイトルにある「指示ゼロ」という言葉は、一見すると「何も言わない」ことを勧めているように聞こえるかもしれません。しかし実際には、「指示を観察に置き換える」という発想の転換を提案しているようです。

同小冊子は全7章構成で、チェックシートを使って子どもが「どこで止まっているのか」を見える化し、タイプごとに合った声かけを具体的に紹介する内容になっているとのこと。つまり、親の役割を「行動を急かす管理者」から「脳の状態を読み解く観察者・伴走者」へとシフトさせる設計になっています。

この考え方は、子育てに限らず、私たちの日常的なコミュニケーション全般に通じるものがあるのではないでしょうか。相手が動かないとき、「なぜ動かないのか」を責めるのではなく、「どこで止まっているのか」を一緒に見つけにいく。その姿勢の転換だけで、関係性は大きく変わり得ます。

声かけは「しつけ」から「科学」へ

「発達科学コミュニケーション」は、臨床発達心理士として15年の発達支援実績を持つ吉野加容子氏が、脳科学・心理学・教育学の知見をベースに独自に体系化したコミュニケーション法です。同社はこれまでに7,000人を超える受講生を輩出しており(同社公式サイトより)、「健やか親子21」の応援メンバーとしても活動しています。

「早くして」は、日本の家庭でおそらく最も多く発せられている言葉の一つでしょう。そこには紛れもなく、子どもを思う親の愛情が込められています。ただ、その愛情の届け方に「脳の仕組み」という補助線を一本引くだけで、朝の風景が少し変わるかもしれません。

無理にやらせるのでもなく、ただ見守るのでもなく、子どもの脳が「いま何に引っかかっているのか」を観察し、そのタイプに合った言葉を選ぶ。それは決して特別なスキルではなく、知っているかどうかの違いだけなのかもしれません。新学期の慌ただしさの中で、ふと立ち止まるきっかけとして、この小冊子を手に取ってみる価値はありそうです。

©株式会社パステルコミュニケーション

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