年間8万個食べるNFL選手たちが、自分たちでPB&Jサンドを作りはじめた

NFL選手たちが愛してやまないピーナッツバター&ジェリー(PB&J)サンドイッチ。その定番スナックの世界に、選手自身がオーナーとして開発に携わった新ブランドが誕生しました。Sports Illustratedの報道によると、NFL選手会(NFLPA)が公式PB&Jブランドとして提携したのは、「Jams」という新興ブランドです。

NFLを支える「年間8万個」の食文化

PB&Jサンドイッチは、アメリカの家庭で親しまれるソウルフードであると同時に、NFLの現場では欠かせない補給食として根づいています。The Athleticが2023年に報じたデータによれば、NFLチーム全体で年間約80,000個ものUncrustables(Smuckers社製の耳なしPB&Jサンドイッチ)が消費されているとのこと。

なかでもデンバー・ブロンコスはリーグ最大の消費チームで、週に約700個を平らげるというから驚きです。スター選手のトラビス・ケルシーは自身のポッドキャスト「New Heights」で「世界で一番食べているもの」と公言し、49ersのジョージ・キトルはアウェー戦のフライトで2個、帰りの便ではその倍を食べると語っています。

手軽に炭水化物とエネルギーを補給できるPB&Jは、もはやNFL文化の一部。しかし、その「定番」に風穴を開けようとする動きが生まれました。

選手がオーナーになる新モデル

ナッシュビルを拠点とする2人の起業家が立ち上げた「Jams」は、2025年7月にローンチ予定の新ブランドです。注目すべきは、元NFL選手のJ.J.ワットと現シカゴ・ベアーズのQBケイレブ・ウィリアムズがオーナーシップグループに参加している点でしょう。

さらにマイカ・パーソンズやC.J.ストラウドといった現役スター選手もブランドを支持し、米国女子サッカー代表のアレックス・モーガンもパートナーに名を連ねています。

これまでスポーツ選手と食品ブランドの関係といえば、広告塔としてのエンドースメント契約が主流でした。選手が商品を「食べる人」から「作る人」へと立場を変えたこの構造は、スポーツIPの活用における大きな転換点ではないでしょうか。自分たちが毎日口にするものだからこそ、品質や成分に対するリアルな要求が製品設計に反映されるわけです。

「シードオイルフリー」という選択

製品面でも、JamsはUncrustablesとの明確な差別化を打ち出しています。タンパク質は1個あたり10グラム(Uncrustablesは6グラム)、添加糖分はUncrustablesの約半分。そして最大の特徴が、シードオイル(種子油)を一切使用していないことです。

シードオイルにはオメガ6脂肪酸が多く含まれ、過剰摂取が体内の炎症を引き起こす可能性が指摘されています。実際、テネシー・タイタンズの新ヘッドコーチ、ロバート・サレーは記者会見でチーム施設からすべてのシードオイルを排除したと発表しました。炎症の軽減と筋肉回復の改善が目的だといいます。

こうしたクリーンラベル志向──つまり不要な添加物を排除し、成分の透明性を高める流れ──は、アスリートの世界だけでなく、一般の健康意識の高い消費者の間でも広がりつつあるトレンドです。フレーバー展開こそ現時点ではストロベリーとミックスベリーの2種類と控えめですが、まずは「中身の質」で勝負する姿勢がうかがえます。

2026年、ロッカールームが変わる

Jamsは2026年シーズンからNFLPA公式ブランドとしてリーグ全体で利用可能になる予定です。選手会が、選手自身がオーナーを務めるブランドを公式採用するという構図には、選手の経済的エンパワーメントという側面も見逃せません。

「好きだから食べる」から「自分たちの基準で作る」へ。たかがPB&Jサンドイッチ、されどPB&Jサンドイッチ。この小さなサンドイッチが示しているのは、アスリートとブランドの関係性が根本から変わりつつあるという、大きな潮流なのかもしれません。

Top image: © JAMS
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