「知っている」だけでは届かない。男性管理職95%が評価した「生理痛体験」の力

予防医療テックスタートアップの株式会社リンケージが、生理痛体験装置「ピリオノイド」を用いた研修の受講者5,232名を対象にしたアンケート結果を発表しました。男性管理職の95%が「受けて良かった」と回答したこのプログラム、その中身がかなり示唆に富んでいます。

半数が「知らなかった」現実

同調査の回答者は約8割が30〜50代の管理職層。注目すべきは、研修前の時点で「生理痛の存在は知っていた」にもかかわらず、女性の約8割が痛みを我慢しながら働いている事実を「知らなかった」と答えた方が約51%にのぼったことです。

生理痛という言葉自体は誰もが耳にしたことがあるでしょう。しかし、その痛みの中で隣の席の同僚が仕事をしている——そんな日常の解像度までは、多くの男性管理職に届いていなかったわけです。これはいわば「無意識の無関心」とも呼べる状態ではないでしょうか。

体感が行動を変えた

ピリオノイドは、甲南大学と奈良女子大学の共同研究から生まれた装置で、筋電気刺激(EMS)によって生理期間中の下腹部の痛みを疑似的に再現します。2026年5月末時点でのべ450社・団体、2.5万人以上が体験しているとのこと。

研修後の変化は数字に明確に表れています。体験前は「特に行動をすることはなかった」が約48%だったのに対し、体験後は「自分自身も声掛けなどの行動を変えるべき」と答えた方が約63%に達しました。受講者からは「頭で分かることと体で感じることは雲泥の差」「あの痛みでは仕事に集中できない」といった声が寄せられています。

近年、DE&I(多様性・公平性・包括性)研修は多くの企業で導入が進んでいますが、座学中心の啓発だけでは「知識は増えたが行動は変わらない」という壁にぶつかりがちです。身体を通じた共感——いわば「体でわかる」体験が、その壁を越える鍵になっているのかもしれません。

個人の気づきを組織の変化へ

体験した管理職の半数以上が、生理休暇の取得促進や職場の理解促進の必要性を発信したという点も見逃せません。具体的には、生理休暇を形骸化させない風土づくりの必要性を感じた方が約65%、上司や同僚の理解促進が必要と答えた方が約64%にのぼりました。

制度があっても使われない——これは生理休暇に限らず、多くの職場制度が抱える課題です。管理職自身が「あの痛みなら休んで当然だ」と体感レベルで納得することが、制度を「使える空気」に変える最短ルートなのかもしれません。

なお同社は、2026年6月23日からの「男女共同参画週間」に合わせ、未体験の法人を対象に10社限定の特別キャンペーンも実施するとのことです。「知っている」を「わかる」に変える一歩として、注目してみてはいかがでしょうか。

©株式会社リンケージ

生理痛体験装置「ピリオノイド」について

甲南大学と奈良女子大学における生理痛再現の可能性と効果を検証する研究[i]の中で生まれ、大阪ヒートクール株式会社が持つ刺激のノウハウや回路技術を組み合わせて開発されました。筋電気刺激(EMS)により、生理期間中に生じる下腹部の痛みを疑似体験することが可能です。リンケージは、大阪ヒートクール株式会社と提携し「生理痛体験研修」を提供しています。

[i] Chihiro Asada et al, “Electrical Muscle Stimulation to Develop and Implement Menstrual Simulator System”, Journal of Robotics and Mechatronics, Vol. 33, No. 5, pp. 1051-1062 (2021.10)

Top image: © iStock.com / South_agency
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。