10代男子の5人に4人が、年に一度も「野球をしていない」らしい
笹川スポーツ財団(SSF)が2026年7月17日に公表した調査データが、ちょっと立ち止まりたくなる数字を突きつけています。10代の野球実施人口は推計133万人。2001年の282万人から、およそ半分になりました。
キャッチボールすら消えた放課後
この調査(「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2025」)は、全国の4〜21歳を対象に訪問留置法——調査員が自宅を訪ねて質問票を預け、後日回収する方式——で2025年夏に実施されたものです。ここでいう「野球実施」には、部活動や習いごとだけでなく、休み時間のキャッチボールや友だちとの草野球も含まれています。つまり、年に一度でもグラブをはめたかどうか、というかなりハードルの低い問いかけなんです。
それでも、10代男子の実施率は20.6%。2001年の37.7%から17.1ポイント下がり、ほぼ半減しました。5人に4人は、1年を通じて一度もバットを振ることもボールを投げることもなかった計算になります。
注目したいのは、減っているのが「部活の競技者」だけではないという点です。SSFは減少の背景として、少子化に加え、スマートフォンやゲームなど屋内娯楽の普及、そして公園でのボール遊びの規制を挙げています。年に数回、遊びやレクリエーションとして野球に触れていた層——いわば「なんとなく野球を知っている子どもたち」が、ごっそり消えているということです。
放課後に空き地でキャッチボールをする。そんな風景は、もはやドラマや漫画の中だけのものになりつつあるのかもしれません。
女子の実施率だけが逆行している
全体が沈んでいくなかで、ひとつだけ逆方向に動いている数字があります。女子の実施率は2001年の2.4%から2025年の3.9%へ、1.5ポイントですが上昇。推計人口も16万人から20万人へ微増しました。
絶対数としてはまだ小さいものの、「野球=男子のスポーツ」という長年の記号が、少しずつ書き換えられている兆しとも読めます。
一方で、年代別に見ると風景はさらにシビアです。小学生年代(10・11歳)の実施率は16.1%で最も高いのですが、2023年調査の22.3%から2年間で6.2ポイントも落ちています。中学生年代は14.2%、高校生年代は10.4%、大学生年代にいたっては6.1%。年齢が上がるほど野球から離れていく傾斜は急で、2021年から2023年にかけて一時的に回復した数字も、2025年には再び下降に転じました。男子の実施率は調査開始以来の最低値を記録しています。
最後にボールを投げたのはいつ?
野球はずっと、日本の「国民的スポーツ」と呼ばれてきました。でもその土台を支えていたのは、プロ選手や甲子園球児だけではなかったはずです。公園でゴロを転がした記憶、父親とキャッチボールをした夕暮れ、テレビ中継を見ながら見よう見まねで素振りをした夜——そうした無数の「遊びとしての野球」が、競技の裾野であると同時に、文化としての野球を支える土壌だったのではないでしょうか。
ボールを投げられる場所が減り、放課後の選択肢がスマホに移り、子どもたちの身体が外に出る理由そのものが薄れている。これは野球だけの話ではなく、子どもが「外で身体を動かして遊ぶ」という体験全体が縮んでいる問題の、ひとつの断面なのだと思います。
あなたが最後にキャッチボールをしたのは、いつですか。その問いの答えが遠ければ遠いほど、この数字の意味するところが、少しだけリアルに感じられるかもしれません。






