マルクスの思想を、深紅の一杯に。神保町発のクラフトリキュール
思想と出版の街・神保町で67年にわたって紙を卸してきた東芳紙業株式会社が、まったく畑違いに見えるプロダクトを世に送り出しました。その名も「Marxist(マルキスト)」──カール・マルクスの哲学書から着想を得た、深紅のクラフトリキュールです。
五感で世界と関わる存在であれ
マルクスの一節がボトルに宿る

この酒のコンセプトの核にあるのは、マルクスが初期の著作『経済学・哲学草稿』で書いた人間観です。
私有財産によって、人間の感覚は「持っているかどうか」だけに狭められてしまう。でも本来、人は見ること、嗅ぐこと、味わうこと、語ること、愛することを通じて世界と関わる存在だ──。
ざっくり言えば、そんな問いかけです。
東芳紙業はこの思想を「棚に飾って終わるモノ」ではなく、「色を見て、香りをたしかめ、味わい、誰かと語り合う体験」として届けようとしました。酒という形式を選んだのは、五感を総動員する行為だからでしょう。
ラベルにはマルクスの肖像画と、原書のドイツ語の一節が刷られています。長谷川宏さんの訳では「ゆたかな人間とは、同時に、人間的生命の総体としての発現を欲求する人間である」。
哲学書の一節がボトルに載っている光景は、さすが本の街・神保町から生まれた酒だなと感じます。
ルバーブの赤は「革命」の色
世界が認めたバーテンダーの設計
中身をつくったのは、伊藤広光氏。東京・江戸川区のCocktail Bar Ravenのオーナーバーテンダーで、同店は2025年に「The World's 50 Best」のDiscovery(世界の優れたバーを発掘するリスト)に選ばれています。
伊藤氏自身も2026年7月にHennessy MyWay 2026のジャパンファイナルで優勝したばかり。
19世紀ヨーロッパの薬草酒文化をモチーフに、ルバーブの鮮烈な赤を「革命」のイメージに重ねたそうです。ベースにはマルクスも親しんだとされるワインを据え、セージやローズマリー、タイム、ラベンダーといったハーブを重ねた味わいは、ヴェルモット(白ワインにハーブを漬け込んだフレーバードワイン)とアペリティーボ(食前酒)の中間のようなスタイルとのこと。
炭酸水やジンジャーエールで割るのがおすすめだそうです。
紙を売ってきた街だから
思想を「液体」にできた

紙の商社がなぜ酒を?──その問いへの答えは、神保町という街の性格にあるのかもしれません。
古書店が連なり、出版社がひしめくこの街は、思想や言葉が「商品」として流通してきた場所です。紙を扱ってきた会社が、今度は思想を液体に変えて届ける。飛躍に見えて、実は地続きなのだと思います。
同社は「一人ひとりが大切にされる社会を目指して行動する人」をあえて「Marxist」と定義し、その人たちの決意の夜に寄り添う酒だとしています。
私たちは日々、たくさんのモノを「所有」しています。でも、それを五感で味わい、誰かと分かち合う時間をどれだけ持てているでしょうか。深紅の一杯が、そんなことを考えるきっかけになるかもしれません。
Marxist(マルキスト)
【品目】リキュール
【内容量】500ml
【アルコール度数】25度
【価格】5,940円(税込・送料別)
【限定数】初回150本
【販売】すてら堂 for Marxist






