「Pokemon GO」のおかげでピザ屋さんが大繁盛。その理由とは?
アメリカで先行リリースされ、爆発的熱狂ぶりが連日ニュースで報道される「Pokemon GO」。そのゲーム内アイテムを使い、一夜にして飛躍的に売り上げを伸ばしたピッツェリアが米メディアから引っ張りだこ。
いったいこの店、どうやって集客したかというと……。
ゲーム内課金でモンスター召喚プレイヤーが店を占拠した
NYクイーンズにあるピッツェリア「L'inizio Pizza Bar」のオーナーTom Lattanzioさんは、ゲーム内のアイテムを10ドルで購入し、店に合計12体のモンスターを放った。すると、ほどなくしてスマホ画面をかじりつくように覗き込んだ集団が、ぞろぞろと入店。スライスピザやビールを注文して居座り、店の外まで人が溢れる人気ぶりだったそう。
わずか10ドルの課金で売り上げ75%UP
まさに、Pokemon GOさまさまな訳だが、まだローンチ前の日本人からすれば、この儲け話のカラクリがいまいち見えにくいはず。ざっくり言ってしまえば、このゲームアプリはGPSを利用しながら街に出て、モンスターをハントして成長させていくのが目的。
で、プレイヤー同士でアイテムを交換したり、モンスターを引き寄せる通称「ポケスポット」と呼ばれる場所がゲーム内に存在する。これが、偶然にもLattanzioさんの店と一致していた。それを知ったオーナーは、30分間だけモンスターを出現させることができる(ポケスポット以外では利用できない)アイテム、「ルアーモジュール」を購入し、店内にモンスターを放出した訳だ。
モンスターを手に入れたいユーザーからすれば、1点に集中している格好のハンティングスポット。それこそゾンビのようにそぞろ歩き、Lattanzioさんの店へと吸い寄せられていったことは、想像に難くない。
こうして、ゲームユーザーの行動特性を逆手に取り、集客行動につなげて売り上げを伸ばすことに成功。普段の週末の3割増、前週と比べても約75%増に達したそうだ。
「ポケモンいます」が新たなビジネス戦略に?
まさに、飛ぶ鳥落とす勢いのPokemon GO。その特性を十二分に活かして集客につなげたオーナーLattanzioさんの機転に、「Bloomberg」までもが注目。
「このゲームのように位置情報と連動したゲームアプリでは、今以上にARの有用性を発揮した広告展開をすべきだと思います。集客行動へのカンフル剤として、ユーザー達に直接インパクトを与えることになるでしょう」
こう語るのはブルームバーグインテリジェンスのアナリストJitendra Waral氏。
まだサービス運用が始まったばかりで、すでにこの過熱ぶり。いわゆるゲーム内での広告ではなく、わずかな額の課金によりプレイヤーたちのホットスポットを作り出せるとあれば、このピッツェリアに限らず、ポケスポット付近に店を構える経営者からすれば、大きな宣伝戦略につながることは間違いない。
間もなく日本でもローンチと噂されるPokemon GO。現実世界の街中に「ポケモンいます」といった立て看板を目にする日も近いかも。