行列ができるハワイのフードトラック「Banan」。フローズンバナナには、若者4人の地元への熱い想いが込められていた
「Go Local(地産でいこう!)」が早くから生活の中に浸透しているハワイで、2014年のオープン以来、大注目を集めている新感覚デザートがあります。メイン素材はバナナ。さらに材料の95%近くが地元ハワイ産にこだわったもの。
アイスでもソフトクリームでもない
フローズン・バナナが新鮮!
乳製品、砂糖を一切使わずバナナにほんのちょっと水を加えてつくる、このフローズンデザート。ひんやりもったりとした口どけが身上です。ここにアサイーやマンゴーなど、オアフ島はじめハワイの島々で収穫されたフレッシュなフルーツをふんだんに乗せたり、グラノーラ、ココナッツ、キヌア、ビーポーレンといったスーパーフードをトッピングしていただくのが「Banan(バナン)流」。地元のロコばかりか、今では観光客が行列をつくる大人気のデザートです。
今年4月には、ハワイ大学のあるユニバーシティ・アベニュー沿いに初の路面店がオープン。新感覚デザートを求めて、こちらも連日大賑わい。
鮮度抜群のフルーツは、そのままお皿にもなっちゃいます。4ドル(約420円)のカップよりも断然オススメなのが、このパパイヤボード。これで7ドル(約740円)。アサイーボウルもいいけど、ヘルシーさではこちらも負けていません。
ハワイに生まれた彼らが
大切にしている想い
今や超人気店となった「Banan」の仕掛け人は、卒業生にあのオバマ大統領がいるハワイの名門プナホウ・スクール出身の仲良し4人組(マット、ザック、ルーク、ギャレン)。彼らはヴィーガンたちが口にするアイスがバナナで作られていることを知り、これにチャレンジしようと決意。
出店するにあたり、彼らはひとつのミッションを自らに課しました。デザートをただ提供するだけでなく、ハワイの魅力をもっと知ってもらい、それが地元の農家に還元される仕組みをつくること。そのひとつが「Go Local」、地産へのこだわりにありました。
大陸から離れた常夏の島では、当然ながら島外からの輸送には課税も燃料代もかかります。温暖な気候条件を活かして、作物は自分たちでつくりそれを消費する。地産地消が生活文化の中に自然と根付いるのも、こうしたハワイ特有の地理的条件が重なっているのかもしれません。
「Farm to Table」で終わらせない
循環型システムにこだわる
ハワイならではの理由
「Banan」の4人はそこからさらに一歩踏み込み、地元食材を用いるだけでなく、廃棄される生ごみをもう一度、農場へと再利用させるアイデアも構築していきました。小さなフードトラックから、ハワイならではの循環型社会が見えてくる。ここにBananが注目されるもうひとつの理由があります。
大量のバナナを使うデザートからは、当然ながら大量のバナナの皮が廃棄される。これら果物の皮など廃棄物を養豚場へと運び、豚の餌として還元したり、コンポストを用いて堆肥化し、地元の土地にかえすシステムを確立していきました。
Farm to Table(農場で採れたものを食卓へ)だけでは一方通行。そこに Table to Farm(食卓からも農場へ)の概念をプラスすることで、ハワイならではの持続可能なサイクルができあがったのです。
年間700万人以上の観光客が訪れるハワイ。限られた資源を有効につかって生産性を保っていくことは、この島に生きる人々のアイデンティティに直結しているんですね。
とまあ、それはさておき、とにかくハワイでしか食べることのできないフローズンバナナ。これだけでもハワイに行く価値あると思うんですけど。