トップデザイナーがNPOとコラボ!「オシャレな病衣」を作ったら子どもたちが笑顔に
ファッションは自分を主張するツールのひとつ。けれど、どうして病院のガウン(病衣)は、みな一様に同じ色、同じかたちのものなのか?
大人だったら、こんなこと考えてもみないでしょうが、病院生活を続ける多感なティーンエイジャーたちにとっては、すごくセンシティブな問題だったようです。
「みんなと同じで退屈……」
病衣のデザインに不満あり
本当なら、自分の着たい洋服をクローゼットから引っ張り出して、自由にオシャレを楽しみたいティーンたち。けれど、病院の中では用意された病衣に袖を通すほかありません。
本音を言えば「みんなと同じでつまらない」、「自分が自分じゃないみたい」、「これを着ていると自分の個性がだんだん失われていくようだよ」など、ティーンならではの不満がたくさんあるようです。
どんなに自分が早く病気を治したいと努力しても、病衣を着ている以上、結局は自分はただの入院患者でしかない……。大人の私たちが、はたしてこの考えにいたるでしょうか?
病院生活を続けるティーンの声に耳を傾け、シンプルな方法でいてストレートに彼らの声を反映させたプロジェクトがあります。病気の子どもたちを支援するカナダの「NPO団体Starlight Children's Foundation」による、そのステキなアイデアがこちら。
彼らが「着たい」と思える病衣を
トップデザイナーに依頼しよう!
団体が協力を依頼したのは、6人のカナダ人デザイナーでした。みな第一線で活躍するトップデザイナーです。たとえば、世界中にクライアントを持つIzzy Camilleri。デビッド・ボウイやメリル・ストリープの専属デザイナーとして活躍した経歴を持つトップデザイナーたちが集結したのです。
「普通の子供服をデザインするよりも、ずっと難しいことでした。想像しかできないけど、怪我や病気を抱えた子どもたちのためにチャレンジしてこなかった領域ですからね。でも、彼らがこの病衣を着て、内なるパワーを感じてくれたら嬉しい」
と、こちらは同じくプロジェクトに参加した、タトゥー・アーティストでデザイナーのIndia Amaraのコメント。
自分自身でいられる病衣
子どもたちに笑顔があふれる
こうして、トップデザイナーたちが手がけた病衣がティーンのもとへ。できあがったのは、アニマルプリント、カモフラージュ、袖口をレースで切り替えしにしたもの、フォトプリント、さらにはなんとスカル柄まで。
まるでセレクトショップで買い物を楽しむように、色とりどりの病衣を手に取っては、胸元にあてがう彼らの眼差しは真剣そのもの。
自分が着たい服を着る。10代の少年少女が手に取りたくなる病衣をデザインする、このプロジェクトで袖を通せたのは、ほんのごくわずかです。それでも、「私(のキモチ)を病院の外に連れ出してくれる」、「病院の中にいるなんて思えない」というような、ポジティブなティーンたちの感想を聞くにつれ、病床の彼らが本当に求めていた“小さくも大きな違い”が動画からも感じることができるはずです。
すべての病衣の襟元には、ちゃんとプロジェクト「WARD+ROBES」のオリジナルタグまで付いていました。そして、裏にはこんなメッセージが。
キミたちはとってもユニークなんだから。病衣だって、そうあるべきでしょ?
カナダ発のプロジェクトを
世界の小児病棟へ
「Teen Vogue」が伝えるところによれば、このプロジェクトは当初オンタリオ州の病院のみで実施される予定だったようですが、団体はこれをできるだけ早くカナダ全土で開始したい、と寄付を呼びかけています。また、世界中のデザイナーたちに向けても協力を依頼。公式サイトよりPDFをダウンロードし、デザインを広く募集しています。
薄色で無地の素っ気ないもの。それを当然のように受け入れてしまうのは大人の感覚。けれど、長く病院生活を続ける子どもたちは、病衣が別の見え方をしている。この感覚、世界どこでも当てはまることではないでしょうか?