ごみを出さないようにするにはどうすればよいのでしょう。「ゼロ・ウェイスト・ライフ」の提案。
家庭内のごみを極限まで出さない「ゼロ・ウェイスト」という考え方がアメリカ・カリフォルニアをはじめ、フランス・カナダなど世界的に注目されています。ごみを捨てるのではなく、無駄を減らしてごみを出さないという発想から生まれたシンプルライフです。
日本でもすでに、生活を見直すきっかけとして「断捨離」や「ミニマリズム」といった、モノを減らす暮らしが定着しつつありますが、生活環境を整えれば、身の回りだけでなく心もさっぱりとキレイになります。
『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の著者であるベア・ジョンソンさんは、2008年から家族4人で、ゼロ・ウェイスト・ライフに取り組んだことで、ごみが出なくなっただけでなく、生活の質までも向上したと言います。
ごみを減らすことは、一見大変そうに感じられますが、大切なことはたったの5つ。詳しくみていきましょう。
捨てたごみの行方
「ごみを捨てる」とは、一体どういうことなのでしょう。たとえ、私たちの視界からごみが消え去っても、決して蒸発してなくなったわけではなく、回収してくれただけのこと。ごみを捨てるということは、ものづくりに使われた貴重な資源をムダにし、その処分に莫大な費用をかけていることなのです。
今こそ「ゼロ・ウェイスト」を
「ゼロ・ウェイスト」は、できる限りごみをなくそうとする様々な取り組みに基づく考え方。ごみをなくそうとすることは、なんでもかんでもリサイクルすることだと勘違いされがちですが、それはまったくの誤解。リサイクルの前に、そもそもごみを出さないようにすれば良いのではないでしょうか。再利用自体は良いことですが、本来は、ごみを作らないという考え方が望ましいのです。
5つの「R」で
究極のシンプルライフを
「ゼロ・ウェイスト」を行うことによって、家庭生活はどんなふうに変化するのでしょう。家庭ごみのカットは、実はとってもシンプル。以下の5つのステップを踏めば良いだけなのです。
01.
REFUSE(リフューズ)
〈不要なものは断る〉
不要なものを家の中に持ち込むことをやめましょう。ホテルに宿泊したとき、無料のシャンプーをもらえば、それを補充するために、ふたたび石油が使われます。広告のチラシを受け取れば、さらにチラシを作るために、どこかで木が切り取られます。どんなに小さなものでも、私たちがそれらを受け取ることで、ひとつのサイクルが生まれます。いらないものを受け取ることは、捨てる行為へつながっていくのです。ごみが家の中に入って来ないようにしましょう。
02.
REDUCE(リデュース)
〈必要なものを減らす〉
過去の消費を振り返りましょう。家の中にあるものすべてに対して、本来の使い道と、必要性を見極め、不要なものを手放します。もし、何かを買いたいと思ったら、本当に自分に必要なものなのかを考え、できるだけ包装(包み紙、レジ袋、容器など)を簡素にできるように考えましょう。新しいものを家に持ち込むとき、しっかり熟考することができれば、消費を抑えることにつながるのです。テレビや雑誌など、メディアに織り込まれる戦略的な広告による買いたい誘惑に屈してしまいそうならば、触れる機会を減らして、消費につながる活動を減らしましょう。
03.
REUSE(リユース)
〈買ったものは繰り返し使う〉
買ったものや、今あるものを繰り返し使うことで、消費と資源の節約の両立が図れます。これは、モノを廃棄から救う究極の形ともいえます。多くの人がリユースとリサイクルを混同してますが、製品を再加工して新たな形に作り変える「リサイクル」に対して、製品をそのままの形で何度も使い、さらに活用してモノの寿命を延ばす「リユース」は、リサイクルの必要がないので、加工のために失われたかもしれない資源を節約できるのです。リユースは、「ゼロ・ウェイスト」を軌道に乗せる大きなポイントになります。
04.
RECYCLE(リサイクル)
〈リサイクルする〉
消費が減れば、リサイクルはほとんど必要なくなりますが、どうしても断れない(リフューズできない)、減らせない(リデュースできない)、繰り返し使えない(リユースできない)ものについては資源化しましょう。リサイクルに対する懸念点は、再加工のために貴重なエネルギーを要することです。たとえば、プラスチックは、製造過程と使用する過程、そしてリサイクルの過程においても、有害物質を排出します。やはり何か買い物をするときは、あらかじめ製造から廃棄までのライフサイクル全体を考えてから行いたいものです。
05.
ROT(ロット)
〈残りはすべて堆肥化〉
ロットは、腐らせるという意味です。すなわち、堆肥化(コンポスト化)すること。生ごみや植木といった有機ごみを時間をかけて分解し、養分を土に返すという有機物のリサイクル。家庭でもコンポストを利用すれば、分解が早く、ごみの減量に極めて有効です。コンポストには、地上に積み上げていくタイプ、みみず式など、幾つか種類があります。一般的な機能や、使い勝手ばかりでなく、コストはどのくらいかかるのか、スペースはどれくらい必要なのか、そして、手間はかからないのかなど、自分の生活環境に合う、最適なものを選びましょう。
以上、5つの「R」を上から順に実行していきましょう。そうすれば、家庭ごみにまつわる懸念の大半を吹き飛ばすことができるでしょう。