豪カンタス航空がエコノミーでも、無料でワインの「テイスティングサービス」を始めた理由

オーストラリアのワインコミュニティーサイト「The Wine Wanker」によると、カンタス航空はこの夏、国際線など一部の長距離フライトで、希望のあった乗客に対しワインのテイスティングサービスを実施しているそう。これ、テイスティングという点がキモなんです。

希望者はギャレーの中で
テイスティングできます!

でも、単なるオーストラリア産ワインのドリンクサービスという訳ではなさそうです。なぜってファーストやビジネスならまだしも、エコノミークラスでもこのサービスを利用することができると言うのだから。

ところがこれは、あくまでテイスティングとしての位置付けで、ワインが振舞われる場所もギャレー(機内の調理室)の中。しかも、サービス自体があまり公には知られていないもののよう。これって、一体どういうこと?

ソムリエ養成講座
客室乗務員の研修だった

「トラベルボイス」によると、カンタス航空では、昨夏オーストラリアのトップレストラン「ロックプール・グループ」のワイン専門家を交えたソムリエチームを結成。このチームが、ワインやシャンパン、スピリッツなどおよそ1,200種をテイスティングし、国際線と国内線、およびラウンジで提供される飲み物の評価と選定を行ってきたそうです。

また、機内で提供される料理とワインのマッチングを客室乗務員がきちんと説明できるよう、“天空のソムリエ”養成のため、独自の研修プランを始めました。つまり、この無料サービスはその実技試験の一環だったワケ。

豪州ワインのクオリティを
航空会社がアピール

これまでにもワインサービスの取り組みが高く評価され、ロンドンの旅行専門誌が開催した「Cellars in the Sky Awards」にて、毎年のようにカンタス航空は賞を受賞してきました。

ワイン生産量では、つねに世界トップ10に名を連ねるオーストラリア。自国産業の多様性と品質の高さを世界に広める重要な役割を、航空会社が担っているという自負は、「毎年およそ1,500万豪ドル(約11億円)をワイン業界に投資し、機内ワインの選定に力を入れている」という、国際線部門担当のCEOギャレス・エヴァンスの言葉にも表れています。


教育プログラムを自社で構え
ブランドの独自性を打ち出す

各航空会社ともにソムリエの資格を持つ客室乗務員がいること自体は、何も珍しいことではありません。けれど、正式なワイン教育プログラムを自社で取り入れ、客室乗務員があらゆる観点からワインサービスについて学ぶことで、差別化を図ったカンタス航空。

現在、すでに200人のソムリエが育ち、2,000人以上の客室乗務員が、中級または上級レベルのトレーニングを終了している(と同社は報じている)ことからも、その本気度の高さが伝わってくるのでは?

もし、近くカンタス航空の利用を予定している人は、乗務員にワインリストをオーダーしてみてはいかがでしょう。もしかしたら、特別なワインが用意されたギャレーに招待されるかも!?

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。