独コーヒーショップに広がる「デポジット制タンブラー」の波
環境先進国ドイツ第2の都市ハンブルグは、2016年2月テイクアウト用のコーヒーカップを禁止し、ゴミ問題への対策として世界にスタンスを示した。リサイクル大国といわれるドイツですら、増え続けるゴミの量に追いつかない現状が背景にあったという。
こうした問題を受けて、市内のコーヒーショップが協力し、世界に先駆けるリサイクルキャンペーンを今月から展開中。各国が注目するその取り組みとは?
ペーパーカップでも、
マイタンブラーでもない。
第3の選択肢「Refill It!」
11月1日からスタートしたプロジェクト「Refill It!」をひと言で表現すれば、デポジット制のマイタンブラーを、ペーパーカップやプラスチックカップの代わりに使用する、というもの。
コーヒーショップを利用するお客さんは、まずRefill It!専用の黒いタンブラーを1.5ユーロ(約176円ほど)で購入する。そこに好みのコーヒーを入れてもらう訳だが、飲んだあとはお店にタンブラーを返しデポジットの返金を受けてもいい。
だが、これだけではショップで提供されるカップに入れてもらうだけで事足りる。Refill It!は、あくまでテイクアウト用。そのまま店外に出て、持ち帰ってもいい。また、キャンペーンに参加している市内の他のショップでコーヒーを入れてもらって飲むことだってできる。このあたり、PASMOやSuicaなどのIC乗車券と原理は同じだ。
ちなみに、ショップに戻ってきた専用カップは、お店がきれいに洗って、誰かのRefill It!として再利用される仕組み。カップの使い回しへの抵抗感がある人は、返却しない、もしくは自分専用のカップやタンブラーを持ち歩けばいいだけの話。
蛇足だが、このタンブラーも100%リサイクル可能な生分解生プラスチックでできている。
非政府組織のドイツ環境支援協会(DUH)が試算した数字によると、同国では毎時間おおよそ32万個の使い捨てカップがゴミとなっているという。日々の生活にコーヒーが欠かせないハンブルグの人々が、この問題に対して自分たちからアクションを起こす。その足掛かりがデポジット制タンブラーの導入だった。
Refill It!加盟店は、現在のところハンブルグ市内で11店舗。けれど、来年の今頃には、ドイツ全土に広がっている可能性はかなり高いんじゃないかな。