「バイオ燃料」による、環境にやさしい空の旅がはじまる

「本日は〇〇航空をご利用いただき、誠にありがとうございます。当機は羽田発ホノルル行きです。なお、フライトには廃材を再利用したバイオ燃料を使用しております。…それではみなさま、ホノルルまでの環境にやさしい空の旅をお楽しみください」。

そう遠くない将来、機内アナウンスはこんなふうに変わるかもしれない。環境に配慮した代替燃料でジェット機が当たり前に空を飛ぶ時代が、もうまもなくやってくる。

化石燃料に変わる
「代替燃料」開発競争

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現在、一般的な航空機の燃料に使用されているのは「灯油」。厳密に言えば、原油から灯油を精製するときにできるケロシンと呼ばれるものだ。純度が高く、高度1万メートル以上でも凍らず、水分も少ないなどの特徴がある。

だが、限りある資源の保護、跳ね上がる燃料費の問題、温室効果ガスの排出削減をはじめとする環境負荷の観点から、化石燃料に変わる代替燃料の開発が2000年代に入ってから熱を帯びてきた。

非食用の植物油やさとうきび、ココナッツを原料とするバイオ燃料を従来のジェット燃料に混合する新たな燃料も登場している。

廃木材をバイオ燃料へ
アラスカ航空のチャレンジ

そんななかで、2016年11月アラスカ航空が廃材木から精製したバイオ燃料を使ってのフライト実験に成功したという。リリースによると、太平洋北西部の地域で森林伐採され、木材として加工した際に不要となる枝や株、根っこなどを再利用して精製した燃料だそう。

今回のフライトは米シアトルから東海岸のワシントンD.C.まで。満席状態でのテスト飛行を問題なく成し遂げた。じつは同社、今年6月にもトウモロコシを原料とした代替燃料で成功を収めている。 

提供したのは、コロラド州に拠点を置くバイオ燃料の共有カンパニーGevo。「不要な木材で航空機が空を飛ぶ、私たちはこのパラダイムシフトを実現します」、と同社CEOのPat Guber氏は自信をのぞかせるが、ボトルネックとるのはその価格らしい。

廃木材の燃料化にはコストもかかるようで、価格面だけ見れば現状だと化石燃料に軍配があがる。そうした金銭的な問題はあれど、世界で初となる、循環型のエコシステムに沿った木材由来のバイオ燃料に、航空業界の注目は高い。

日本は、ミドリムシを燃料に!?

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環境に配慮した代替燃料なら、日本だって負けてはいない。ANAは微生物のミドリムシを使った「国産バイオジェット・ディーゼル燃料」の実用化を2020年までに目指している。

もともとミドリムシは二酸化炭素を吸収し、光合成をして育つ生物。そのミドリムシを使った燃料ならば、「燃やしてCO2を排出しても、結果的に空気中の二酸化炭素は増加しない」と、ANAと共同で開発を進めるユーグレナ社は期待を寄せる。

空の空気を汚さない努力
CO2排出規制で世界が合意

こうした次世代燃料開発競争の背景には、地上だけでなく空の上もCO2削減に向けた努力が必要とする、世界的なコンセンサスがある。

国際民間航空機関(ICAO)は2016年10月6日、日本を含む世界191カ国が、国際線旅客機の温室効果ガス排出を規制する国際的な枠組みに合意したと発表した。排出されるCO2の削減を目指すだけでなく、今後さらに強まることが予想される規制に向け、各社が導入を進めているのがバイオ燃料という訳だ。

国境をまたいで飛行する航空機、だが環境への配慮はすべての国で。“環境にやさしい空の旅”に向けた各航空会社の企業努力に、注目しながら見ていくと、長いフライト時間の楽しみ方も変わるかもしれない。

「The Denver Post」の考察がおもしろいので、最後に紹介したい。

いわく、レストランが地元でとれた素材にこだわるのと同じように、近い将来、航空会社ごとに自国の廃材や食料、植物を使った持続可能なバイオ燃料をメッセージングする時代がくるかもしれない、と。

バイオ燃料には、サトウキビやトウモロコシなどを使うのがメインストリーム。だけど、「Shell」は“新たな原料”を利用したプロジェクトを始めています。
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