無数の流木は、自然に人体へと形づくられていく
河口や浜辺に流れ着いた流木を見つけると、どうしても手にしたくなる。ほどよく朽ちかけ、丸みを帯びたその風合いは、年輪に変わる長い旅路を経た証。もしかしたら、「流木」という言葉がもつ響きにも、どこかでノスタルジアを見出そうとしているのかもしれない。
長い旅路が「血肉」となる
水と大気と時間、そこに環境が影響しながら自然の中で創造されることを考えれば、もうこの時点で流木そのもが、自然のアートと呼べるのではなかろうか。けれどそれらを組み合わせることで、あらたな息吹が生む作品がある。アーティストNagato Iwasakiによるスカルプチュア「Torso」。
筋肉の隆起や首筋にかけてのライン、しなやかな曲線美をじっと眺めていると、人工物とも自然のものともまた違う、息づかいが聞こえてくるようだ。
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無数の流木は
自然に人体へと形づくられる
世界からも注目される流木アートについて、Iwasaki氏にいつくか質問をしてみた。流木の魅力って、どこにあると思いますか?
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──流木はどこから集められてくるのでしょう?
現在、山梨県の南端にある町にスタジオを構えています。車で30分も行けば駿河湾、台風が去った後に出向くと、浜辺には無数の流木が打ちあがる。世界の国々から流れ着いたそれらを拾い集めて材料にしています。
──流木による人体作品、どうやってできているんですか?
最初は机や椅子、自転車などの造形品を製作したいんです。このTorsoをはじめる前は、いくつか木を使った人体作品を製作していました。もちろん木を加工したり、釘やボルトを用いて。
でもTorsoでは、接着剤も、釘もやめて代わりに木の杭で止めています。曲げたり、削ったりといった加工も一切なし。つまりは、木の他には何の素材も使っていないんです。
──最後に、流木の魅力はどこにあると思いますか?
流木ひとつひとつが、初めから人体の部位に収まる運命を持っているかのように、様々な部位として自然と形になっていきます。私はただその人体の部品をつなぎ合わせているに過ぎません。
私たちの体もいずれは朽ち果てるのと同じように、私の作品も素材として朽ち果てることになるでしょう。木にはそのような「有機性」の魅力があり、流木を使う理由はそこなのではないかと思います。