「軽さは1kgを切れ」パナソニックが20年挑戦し続ける、ビジネスマンの相棒作り
20年という時間は決して短くない。
ここで紹介するのは、2016年に誕生20周年を迎えたパナソニック「レッツノート」の歴史。誕生からずっと「ユーザーの声」を反映させたモノづくりを貫いてきた姿勢には、はっと目を見開かされるものがあった。
20年分の印象的なトピックスを、2分で振り返ってみたいと思う。きっとパナソニックの、ひいては日本のモノづくりの心意気に、触れられるのではないだろうか。
01.
すべてはここから始まった。
“モバイルPCの元祖” AL-N1
1996年、初代レッツノート「AL-N1」が生まれた。もちろんそれ以前にもノートPCはあったが、「AL-N1」ほど軽量・スペック・価格のバランスを有し、モバイル、つまり移動しながら使いこむパソコンとして戦えるプロダクトはなかったのだ。
「miniの部屋」に寄せられた「いつも最高のスペックのものがほしい」というユーザーの声。その期待に応えて生まれた「AL-N1」は完成度の高さを評価され、マーケットで大きな注目を浴びたのである。
02.
「トラックボール」って見たことある?
「AL-N1」の後続機、「AL-N2」にくっついてきたのが、くるくる操作できる「トラックボール」。斬新かつ機能的な操作性が大きな反響を呼び、当時のレッツノートの外せない特徴となった。
しかし軽量化の波の中で、99年には姿を消してしまうことに。見たことがない人も、多いかもしれない。
03.
どこでもインターネット可能に
PHS内臓のモバイルPC
今でこそ当たり前になっている無線通信だが、パソコンにPHSを内蔵させ、どこでもワイヤレスで通信が出来るようになったのが「CF-A1」の登場だ。1999年のことである。
「正直、時代を先取りしすぎました。でも、“モバイルPC”を進化させるためには必要な開発だった。想いは今でも変わりません」と、当時を知る担当者は言う。
04.
35万画素だけど、
CCDカメラ付けちゃいました
今から18年も前に、「モバイルコミュニケーション」の将来を見据えてこのCCDカメラ付きPC「CF-C33」が生まれたというのだからすごい。ちなみに、関西の某人気探偵番組で、遠く離れた友人と話がしたいという依頼にレッツノートが擬似テレビ電話として使われ、お茶の間に感動を届けたこともあるそうだ。
05.
「軽さは1kgを切る。
やりきれなかったら、明日からの仕事はない」
事業部の責任者が掲げた目標は「約1.5kgある重さを1kg未満にする」こと。レッツノートはモバイルPCだ。その真価は、「軽さ」と「駆動時間」とは絶対に切り離すことができない。
冒頭のプレッシャーの強い言葉からも、社運をかけた重大なミッションであったことが分かるだろう。
06.
そして生まれた
象徴的な「ボンネット天板」
自動車の構造を、こんな小さなモバイルPCに応用しようなんて、誰が思いついたのだろう。この発想のお陰で、レッツノートは大幅な軽量化を実現した。本当に、1kgを切ったのだ。
平らな金属板にプレスラインを入れ、凹凸させたレッツノートの天板を見たことある人は多いはず。2002年に初めて登場した「ボンネット型天板」は、今もなお軽量・強化のために研究され、進化し続けている。
07.
満員電車を想定した「耐 100kgf」
昔はモバイルPCの液晶破損がとても多かった。ユーザー調査をすると、満員電車での通勤をしている人に、破損が多いことが判明。
一体どれだけの負荷がかかっているのか?開発者自ら外圧が測定できる特注スーツに身を包み、特注バッグをもって何度も満員電車に乗り込んだという。こうしてデータ収集した結果、出てきた数字は「耐 100kgf」(※kgf=重力キログラム)ボンネットの設計は、すべてゼロから見直し。基盤もあえて完全固定しないなど、抜本的な構造調整が必要だった。
「満員電車」という日本人ならではの環境課題に応えるなんて、まさに日本のメーカーがつくる、日本人のためのパソコンという感じだ。
08.
落下耐久試験、
どれくらいの高さから落としてると思う?
答えは【76cm】。一般的なデスクの高さと同じくらいだ。
従来のシリーズでは、30cm程の落下耐久だったところから、大きく飛躍した耐久性能。ユーザーはどこでモバイルPCを使っているのか?を考えたら、必然的に追い求めるべき性能だったという。
09.
ハードユーザーの味方
「キーボード全防滴」
ビジネスで長時間パソコンに向き合っている人ならきっと共感してもらえると思うのだが、どうしても作業をしながら飲食したくなる瞬間がある。ダメだと分かっていても、だ。うっかりコーヒーを引っ掛けてしまい、冷や汗をかいたことは何度となくある。
水漏れは精密機器の最大の敵。ユーザーの利用シーンに目を向け、望まれるものはカタチにする姿勢が、ここにも強く見えるのではないだろうか。
10.
モバイルの新発想
「ハンドル付きPC」
モバイルPCに、ひょこっと持ち手がついているモデルを見たことはあるだろうか?このユニークな「ハンドル付きPC」は、やっぱり見た目による好き嫌いがあったと担当者は笑う。「軽いこと」だけを追求していれば、ハンドルは要らない。だけど、実際に利用したユーザーからは「軽さを引き替えにしても、あまりある便利さ!」と喜びの声が多数寄せられたそう。
じつはこのハンドルには、パナソニックがずっと温めてきた技術が詰まっており、他社がマネしようと思ってもそう簡単には出来ないそうだ。当時のレッツノートを代表するモデルとなった。
11.
革×精密機器のコラボは、
カンタンじゃなかったけれど・・・
モバイルPCを市販のケースに入れて持ち運ぶのなら、オフィシャルジャケットを付けてしまおう!として生まれた「ジャケット付きレッツノート(CF-J9)」。取り替え可能なジャケットもオプション展開した。……が、正直あんまり売れなかった。
しかし製品は決して中途半端なモノではない。革製品という、精密機器とはまったく無縁の素材を商品化するために、まったく新しい品質管理の基準を設け、従来のレッツノートと等しい耐久性を実現していた。
それでも売れなかったから、シリーズは1型で終了。なんとも潔い。
12.
もう一日無敵。
「16時間駆動バッテリー」が実現
2012年当時、HDD搭載のモバイル(ノート)PCとしては世界最長クラスのバッテリー性能を持つレッツノートが生まれた。
現在発売されている最新のPCと比べても、まったく遜色ない、むしろ圧勝の長時間駆動で、本当に丸一日戦えるビジネスの相棒となった。
13.
タブレット?PC?
どっちもイケる「2in1」
タブレットパットが一斉に市民権を得はじめた2012年ごろ。買いはタブレットか?モバイルPCか?という議論が多くあった。
2012年、レッツノートはマーケットニーズに応える「2in1」タイプを発表(CF-AX2)。画面がくるっと360°回転して、PCがタブレットに変形する。
14.
どこまでもこだわりたい人のために
どこまでも追求する
「プレミアム・エディション」
ビジネスユースのPCとなれば、求めるスペックはひとによって大きく違うもの。どこまでもビジネスにストイックにこだわりたい人のために、レッツノートが応えたのが「プレミアム・エディション」だ。
外観やスペックが異なるだけでなく、“オーナー”のためのアフターサービスも特別仕様。無償クリニックや、盗難補償、通常より長い4年の保証期間など、万が一の時に、仕事を止めてしまう時間を1秒でも短くするために、手が尽くされている。
Panasonic Storeでしか購入できないことも、プレミアム感を感じさせるポイントなのではないだろうか。
15.
「軽い」「頑丈」「長時間」
20年変わらない設計思想
主戦場はビジネス。求められているのはモバイルPCとしての最高性能。ユーザーの要求を突きつめていった時、設計思想として残った骨組みは「軽い」「頑丈」「長時間」の3つだった。この3つはそれぞれ相反する要素。技術的に全てを実現させることは、とても困難だが、それこそが開発者を奮い立たせる原動力だったという。
一方で、「もしお客様がこれ以外のものを求めるようになったら、結構あっさりと新しい思想に挑戦すると思いますよ」とも。
16.
ユーザーの声は、ダイレクトに聞く。
カスタマーセンターは、工場にある。
もちろん、ユーザーの声をすみやかに開発・製造に反映させるため。
「コールセンターの責任者は、生産スタッフが担当しています。私が知る限り、こんな体制他にはないです」と、開発担当は自信を覗かせる。名実ともに、「ユーザーの声に耳を傾ける」ということだ。
17.
アフターサービスもすべて「日本製」
「日本製」の誇りは、強く。
レッツノートは、どんな症状であってもすべて国内の整備工場で修理される。最短3泊4日で修理が完了することもあるというから驚きだ。
大切なのはスピードだけではない。どうしてこの故障は起こったのか?を追求し、次の開発に活かすことも重要なアフターサービスの役割。日本製PCの進化は、こうした積み重ねの上に成り立っているのかもしれない。
18.
最新のXZシリーズは
レッツノート初の「完全着脱式」
PCの自由度は、もっと高く。
そして2017年。遂に、完全着脱できるタブレット両用XZシリーズが登場した。じつは、この開発の裏には、2012年に発売された最初の「2in1」タイプのユーザーの声があった。
「2in1は良いんだけど、ちょっと重くてあまり使わなかったんだよね」という率直な意見。片手で持って操作することが多いタブレットには、キーボード部分の重量がどうしても邪魔だった。
「どちらとも取れないものではなく、どちらを取っても最高のモノづくりをしよう」。こうしてモバイルPCとしてはもちろん、タブレットとしても最高のパフォーマンスを発揮するXZシリーズは生まれたのだ。
19.
最高の「ビジネスモバイルPC」であるために
設計思想は、いまも変わらない。
最新のXZシリーズには、軽量化・薄型化の波の中で、他社ではどんどん削ぎ落とされていく外部端子のポートも最大限搭載している。なぜなら、まだまだビジネスシーンでは必要とされているから。それでもタブレットモバイルPCとしては世界最軽量。76cmの落下耐久も、100kgfの重力耐久もある。バッテリーだって、本体利用時で約15時間駆動可能だ。
「軽い」「頑丈」「長時間」。この3つの設計思想は、いまも変わらない。
そしてその思想の下に通底する、「ユーザーの声」にもとづいてプロダクトをつくり続けるという思い。これだけは、どんなことがあっても、変わらない。
20.
筋金入り「ヘビーユーザー」の
声を聞こう
Forbes Japanのサイトには、そんなレッツノートを15年相棒とし続けてきた真のヘビーユーザーである、蛭間芳樹氏のインタビューが掲載されている。
あるときは日本制作投資銀行に勤めるビジネスパーソン、またあるときはホームレスサッカー日本代表・野武士ジャパンの監督、「日本再建のための危機管理プロジェクト」のプロジェクト研究メンバー…etc。ダイバーシティを地でいく蛭間氏だからこそ語れるレッツノートのリアルな魅力は要チェックだ。