カリスマ性は才能だけじゃない。相手を魅了する9つの会話術。
「彼は生まれながらのリーダーだ」なんて表現がある。
もちろん、生まれ持った性格や気質が、チームをまとめることに適しているケースは十分にある。でも、天賦の才だけで求心力を発揮できるかというと、おそらく否。人知れず、メンバーを引きつけるための「努力」をしているはずだ。
今回は「Inc.com」に掲載されたJef Hadenさんの記事から、そのヒントを紹介。現役のリーダーはもちろん、これから部下を持つ人は必見。02、04の項目など、かなり説得力がある気がする。
01.
自身のアイデアの懸念点は
先回りして言及しろ
ひとつのことを様々な視点から見てみると、自身の立場に固執するより説得力が増す。このことはイリノイ大学のDaniel O'Keefe教授も指摘していること。
パーフェクトなアイデアなんて無い。聞く側だってそんなことはお見通しなのです。もっと他の視点や、別の結果が起こる可能性があることもちゃんとわかっている。そのことに注目してみましょう。
議論をさまざまな面から展開し、自分だけでなく、相手が考えているだろうことについて話すのです。自分の意見の欠点も素直に認め、「こう思うでしょ?でも~」とか「確かにこういう面もあるけれど、こうすれば~」などと先回りして言及しましょう。
潜在的なマイナス面についてちゃんと話し、それを最小限度に抑えるか克服する姿勢を見せれば、相手は「よく考えている人だ」とあなたについていきたくなるのです。
02.
「〜するな」ではなく
「〜しよう」で呼びかけろ
さて問題。どっちのほうが聞き入れられやすい?
①「今後はミスをしないように気をつけないとダメだよ」
②「次からは正確さを意識して頑張ろう」
じゃあ、次のふたつでは?
①「人の批判ばかりするのはやめようよ」
②「みんなのいいところも探してみよう」
ついつい「~するな」口調のほうを口にしがち。ですが、ポジティブな言い方のほうが明らかに「もっともだ」と思わせることができそうですよね。
変化を起こしたいのなら、理想を口にしたほうがベター。避けてほしいことよりも、してほしいことをストレートに言いましょう。それだけで、相手に与える影響は格段に違ってくるはず。
03.
図々しいほど大胆であれ
いつでも妥当な選択肢を選んではいませんか?それでは人はついてきません。
研究によると、人々はノウハウに縛られた人よりも挑戦的で大胆不敵な人を好むのです。我々は、自信にはスキルが伴っているものだと自然と思いがち。極端に懐疑的な人でも自信満々の人に目を輝かせて「大丈夫だよ!だって…」と説得されたら、時には気持ちが揺らいでしまうほど。
大胆であれ!「私はこう思うんですけど」とか「一応」とかそういう言葉はもう全部NGワード。「こう思う」じゃなくて「こうだ」と言い切るのです。情熱を見せ付けましょう。多くの人はそういう人物に憧れを抱きます。
04.
話すスピードで相手を引き込め
セールスマンが早口なのには、実は理由があるんです。一部のシチュエーションでは、早口はとてもよく効くのですから。
・反対されそうな時は、早口
・賛同されそうな時は、ゆっくり
これを使い分けましょう。簡単でしょ?なんとなく反対されそうな雰囲気を感じ取ったら、早く話す。相手に反論の論理を固めさせる隙を与えない。賛成してもらえそうな時はゆっくり話し、あなたの論理を噛み砕いて味わう時間をつくりましょう。
中立の人には?これは早口のほうがいいんです。なぜかって、注意をひいて話に集中させるためですよ。
05.
会話は賛成させて始めろ
人はちょっとしたことでも、一回賛成するとその次も賛成したくなる性質を持っています。オーディエンスが絶対に賛成するだろうこと(いい天気ですね、など話と関係ないことでも)から会話を始めること。一度流れに乗って動き出した身体は動きを保とうとします。頭も一緒。はじめにみんなに賛成させて、流れをこちらに持ってきましょう。
06.
誓いを立てて腹をくくれ
一種のおまじないですね。普段弱気な人にはより効果的かもしれません。いつもいつも誓いを立てるのはどうかな、という人も、ここぞという時に覚悟を決め、腹を括って士気を高めるのはアリなのでは?さぁ始めるぞ、という時に複数人で気合を入れるのも良いでしょう。科学的にも、こうすることでパフォーマンスが向上すると言われています。
でも一方で、おまじないに頼り過ぎてもいけません。自分自身を忘れずに。自我のない人についていく人なんて、ありえません。
07.
聞く側の性格で
アプローチを変えろ
「この案は絶対賛同してもらえるはず!」
そう思ってプランを共有したのに、いまいち反応が良くなかった経験のある人、意外と少なくないのでは?それはもしかしたら、あなたのアプローチが悪かったのかも。自分も参加してじっくり考えたいタイプの人に、「もちろん賛成だよね?」という態度でその場の返事を求めると、結局安全なほう、つまりは却下という選択を取られかねません。
そういう時には、「個人的にはとても良いと思うアイデアがあるんだ。でも何か見逃してる点がきっとあるから、君の意見も聞かせてくれない?」と聞いてみましょう。
大事な点は3つ。まず、相手の知性や経験を尊重した態度をとること。次に、賛成を強制する態度を取らないこと。最後に、相手にアイデアのプロセスをなぞる時間をしっかり与えること。
逆に、バシバシとプランを決めてどんどん進めていたいタイプの人には、まどろっこしいことは求めないようにも注意しましょう。相手のことを自然と見極められるようになることが、パワフルな話し手になる近道です。
08.
連絡は適した手段でしろ
アプローチ方法だけでなく、その媒体についても相手に合ったものを選ぶと良いです。例えば知り合いでもなんでもない人に突然話を持ちかけて、話に引き込むにはどうしたら良いでしょう?
相手が男の人の場合は、面と向かって話すよりメールで話を持ちかけるべき。一般的に、男の人は慣れていない人と直に向き合って話す際、競争心を燃やしがちなのです。そんな時、会話は勝つためのコンテストか何かのようになってしまうことも(心当たりがある人もいるのでは?)。
一方で相手も自分も女性なら、逆に面と向かって話した方が良いでしょう。研究によると女性はより関係性を重視する生き物。直接のコミュニケーションの方が効果を発揮しやすいです。
ただし、たとえ相手が男性でも、よく知っている人とは絶対面と向かって話すこと。関係性が親密であればあるほど、直に会った方が話を聞いてもらいやすいですから。
09.
何よりも…
自分の正しさを信じろ!
上記のことを全部できたとしても、結局一番大事なポイントは伝え方ではなく自身が発するメッセージそのもの。自分で自分を「正しい」と思えないと始まりません。自ら脇役に成り下がるような人よりも、一緒にいると何かが新しいことが起こりそうな生き生きした人の方がずっと魅力的に決まっています。
はっきりと、簡潔に、的を得た鋭い議論で。自分のデータと理由づけ、そして結論がしっかりしていないといけない。そうすればいつでも自分を存分に表現し、相手に伝えて、周囲を巻き込んで行くことができるはず。相手を納得させるワザというのは、ただ単に論理という名のケーキのデコレーションでしかないのですから。