夜空とコラボした「満月の運び屋」。その舞台裏に潜入してみた。
なんとも不思議な作品である。まるで、人が満月を空に設置しているように見えるからだ。もちろん本物であるはずはないのだが、そうと分かっていても吸い寄せられてしまう魅力が確かにある。
今回は、特別にこの「Full Moon Service」という名の作品の舞台裏へ。出発点から最終ゴールまでの全プロセスがまとめられた動画を紹介してみたい。
では、幻想的な1枚が完成されるまでのドラマを覗いてみよう。
ひとり何役?マルチな活躍ぶり
撮影者は、スウェーデン出身のフォトグラファーErik Johansson。自らが撮影した写真を自らの手で加工するといった職人気質な一面を持ち合わせている。フォトショップを自由自在に操り、自身がイメージした通りに写真を加工して、理想の表現へ近づける達人でもあるようだ。
でも、Erikの仕事は、それだけには収まらない。まずは、作品の出発点まで巻き戻ってみよう。
すべては、アイディアのスケッチから
小道具だって、自らが手づくり
ロケ先では、自らが「満月」のチェック
そして、自らが小道具の最終テスト
モデルの配置後、画角のチェックも
仕上げは、スモークを焚くディレクションをして
ようやく撮影開始!
1枚に費やされたのは「8ヶ月」
撮影までのプロセスを追うだけでも、随分と時間がかかっていることが分かる。
でも、Erikにしてみれば、腕の見せどころはここからなのだ。フォトショップを使ってのリタッチは、彼の十八番。被写体の一つひとつを補正したり、写真を合成したりと様々な加工をしていく。
最終の仕上げまでは、想像以上の作業工程が存在していたのだ。じつに、1枚に費やされた期間は、8ヶ月とのこと。Erikの労を惜しまない心構えにプロフェッショナル魂を感じた。
動画では描かれていない部分までつっこみたくなって、Erikに直接コンタクトをとってみた。以下は、そのやりとり。
Q:月をモチーフにしたきっかけは?
A:夜空を見上げることが大好きなんだ。ある日、月にはいろんな表情があることに気づいてさ。なら、もっとシュールな方法で、月を撮影しようって思ったんだ。それが、月を置き換えてしまうという『フルムーン・サービス』だったんだ。
Q:この作品を通して伝えたかったことは?A:こだわったのは、雰囲気づくりと撮影場所。そして、「もしもこんな世界があったなら」という遊び心さ。おとぎ話や別世界へと開かれた窓をこしらえるつもりで挑戦したんだ。これを見て、人々が夢を見てくれると嬉しいよ。
そうか。やっぱり、クリエイティブな作品づくりに欠かせないのは、遊び心なんだな。明確なビジョンも、強い意志も、とことん楽しんでやろうとする遊び心。これが、揃った時に、クリエイティブの女神は微笑んでくれるのだろう。
ではでは、ついに動画へ。これまで紹介したErikのマルチぶりだけでなく、写真への真摯な情熱も伝わってくるはずだから。