「オリーブオイルワークショップ」開催レポート(6/4)

本物のオリーブオイルを知ったとき、人生の新しいトビラが開く……というのは、決して大げさなことではありませんでした。

応募者の中から抽選で選ばれた21名をお招きして、去る6月4日(日)に開催されたワークショップ。オリーブオイルソムリエ®阪田友也(通称:トム)さんの、ほとばしる“オリーブ愛”によって、この調味料の懐の深さを体感する3時間は、あっという間でした。

コーヒーに例えるならばアメリカンからエスプレッソまで、じつに3,000種とも言われるオリーブの品種。もう、何を基準に選べばいいかすらワカラナイ!

ということで、今回はトムさんセレクトの3つのタイプの違うオイル(ライト、ミディアム、ストロング)の特徴をテイスティングで感じながら、料理と合わせるペアリングがテーマです。

協力してくれたのは、東京・中目黒でヴィーガン料理を提供する「Alaska zwei」のオーナー大皿彩子さん。オリーブオイルが違うだけで、素材の持ち味がいかに引き出されるかを、野菜たっぷりの料理で紹介してくれました。

今日から使えるオリーブオイル講座がスタート。

iPadを手にトムさんからいきなりオリーブオイルに関するクエスチョンが飛んできます。「オリーブオイルの生産国といえば?」、「そもそもエクストラバージンって?」、身近な調味料なのに意外と知らないことばかり。みんな必死にペンを走らせていました。

では、何をもって「美味しい」とするのか。いよいよテイスティングのはじまりです。

手のひらで、鼻で、舌で、
温めて、かいで、味わう。

国際的なテイスティング方法も教えてもらいました。手のひらにプラスチックカップを置いて、反対の手でフタをするように持ち、カップ内の香りが逃げないよう気をつけながら温めていきます。

オリーブオイルの中に含まれる揮発性ポリフェノール、それが28℃になるといちばん香りが立つ、とトムさん。

「さて、カップの中に充満している香りを例えるなら……?」

「ちょっとイチゴの香りに似てるかも」「熟してないトマトのような感じ」「芝生っぽくない?」思ったままを口にする参加者。

「イチゴ大正解!グリーントマトも正解」

トムさんの回答に一喜一憂のみなさん。

突然、服の上から匂いを嗅ぐ!?

いきなり腕のににおいを嗅ぎだしたトムさん。ちょっと、どうしちゃったんですか!?

実はこれ、洋服のにおいをくんくん嗅いでいるんですが、驚くことにれっきとしたお作法(キャリブレーション)なんだとか。要するにオイルの香りから嗅覚をリセットするために、普段から染み付いた自分だけの匂いに触れる、というのが目的。

その意図を理解して、みんな一斉にくんくんする姿は、ちょっと笑っちゃう光景ですけどね。

 香りだけでなく、味わいかたも。

口の中で感じる甘み、苦み、渋み、辛み、こうしてじっくり味わってみると、ライト、ミドル、ストロングと、それぞれの個性や持ち味がよく分かる。そして……オリーブオイルってこんなに辛かったっけ?

テイスティング中もあちこちから咳き込む音が。苦味と辛さの正体はポリフェノールらしいのですが、これもオイルの個性だとか。

ところでトムさん、この日のテイスティングにと、じつはもう1種エクストラバージンオイルを用意していました。コンビニでも買えるリーズナブルなもの。どんな香りがするかは、同じようにに手のひらで温めてから試してみては?

待ちに待ったお料理が登場!

オリーブオイルと良き出会いに、カンパ〜イ!さあ、お待ちかねの料理がやってきました。

一品目は「玉ねぎのオーブン焼き」です。旬を迎えた新玉ねぎをシンプルにロースト、8年もののバルサミコをたっぷりかけて。

「今の時期は甘くて香りもあるんだけど、玉ねぎってコクが少ないんですよね。そこで、ナッツ香のあるライト目なオイル(最初にテイスティングしたもの)がとてもよく合うんです」

動物性のものを使わないお店にとって、オイルは味の決め手となる調味料だと大皿さん。野菜の持ち味が、こうしてオイルによって引き出されるんですね。

オーブンから取り出したばかりの「ズッキーニのステーキ」は、目の前でMIDDLEタイプのオリーブオイルをかけて仕上げます。と、同時に撮影タ〜イム。辛味があるオイルですが、マスタードのように後をひかない。その特性をアクセントに活かした一品。

「これを知っちゃうと、もう人生後戻りできないかも(笑)」

半ば冗談でもなさそうに語るトムさんオススメのバルサミコも登場。それに合わせる新鮮な「ルッコラのサラダ」は大皿さんからのサービス。これはうれしい!

シメは「マッシュルームの豆乳リゾット」。ペアリングは先ほどみんなが咳き込んでしまう辛味の強いストロングタイプのオイルです。

ところが、さっき感じた辛味がミルキーな豆乳と混ざることで、びっくりするくらいマイルドに。

「ヴィーガン食って、ちょっと物足りないと感じるかもしれません。それをオイルの特性が補ってくれるんですよね」

個性の違うオリーブオイルが自宅に数本あるだけで、料理との相性を考える楽しみが生まれる。おいしい料理とともに、オリーブオイルの懐の深さを知る3時間でした。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。