98歳。世界最高齢のヨガインストラクターに学ぶ「人生で大切なこと」
「今日が人生最高の日。不可能なんて何もないって毎朝思うのよ」。
彼女が頻繁に口にするのがこの言葉。今年で98歳。世界最高齢のヨガインストラクターとして現在も活躍するTao Porchon-Lynchさんの言葉からは、生きるうえでの多くのヒントを得ることができる。
フランスとインドのハーフであるTaoさんが、初めてヨガと出会ったのは8歳の時。つまり、90年の歴を持っているということになる。当時ヨガは男性がするものであるという考えがあり、家族は「女性がすることではない」と反対していたのだ。けれど彼女はめげるどころか、こう言い放ったそう。「男ができることなら、私にもできるに決まってるわ」。
そうして23歳の時に、自身がインストラクターとしてヨガを広めていくことを決意し、今日まで75年間、たくさんの生徒を育ててきた。
「沈んだ気分で1日を始めたりしないこと」
徹底して5時に起きている彼女は、毎朝必ずすることがある。それは外に出て、自然のなかで自分の呼吸と、心臓の鼓動を感じることだ。
「この音が止まったら、私たちは死んでしまうのよ。そうやって命に耳を傾けることで、人生に感謝して、心の声を聴くことができる。朝日は、新しい可能性を運んできてくれる。沈んだ気分で1日を始めたりしないこと」。
例え雨でも雪でも、その日の人生をつくる大切なものだ、と彼女は語る。
たくさんの人と出会って、愛しなさい
国防総省職員への講義や、大学の臨時講師、TEDxの講演など、毎日かなりアクティブに活動している彼女。多くのインタビューも受けているけれど、その言葉はエネルギーに溢れたもので、100歳近いとは到底思えない声のハリにも驚かされてしまった。
誰かと一緒に笑うこと、「愛してる」と伝えること、抱きしめ合うことで、人生は豊かになる。という考えも、彼女が大切にしていることのひとつだ。
今回連絡をした時にも「日本からありがとう」と、気さくに対応をしてくれたことがとても印象的だった。人に対する尊敬や思いやりは、たった一通のメールだけでも伝わるものだ。
ヨガは平和への「玄関口」
彼女は、平等と行動主義の信念を持った家族のなかで成長し、叔父はガンジーと友人関係にあったそう。その背景から、第二次世界大戦中にユダヤ人を守るため、フランス国内でナチスに対して行われたレジスタンス運動にも参加していた。軍隊を支援するためにできることは、何でもしたと語っている。
ヨガが平和のきっかけになることを信じ、世界中の400以上のイベントや講演に参加し、その果敢な姿と美貌で、注目を浴びることとなったのが1950年代。ハリウッドと契約をして、女優としても活躍していた。
平和を祈り、人生を大切に生きていきたいという想いは、時代を超えて受け継がれていくものとなるだろう。