「幸せ」には、怒りも喜びも関係ない。
「幸せ」という言葉を聞いた時、何を連想しますか?
笑顔、恋人、甘いもの、結婚……など、そのほとんどは「喜び」と関連するものだと思います。でも、8月14日に発表された幸福に関する研究結果では、その固定観念に疑問を投げかけるものでした。
ポジティブな感情 ≠ 幸せ
英国やイスラエルの何人かの研究者が共同で行った調査の対象は、米国、ブラジル、中国、ドイツ、ガーナ、イスラエル、ポーランド、シンガポールの大学生約2,300人。方法はこの3ステップ。
①「どんな感情で過ごしていたいか」を問う
②普段の生活をしてもらったあとに、実際にどんな感情を抱いたのかを問う
③人生の幸福度、満足度を自己採点したデータと②の回答を比較する
その結果、わかったのがこちら。
人は総じてより楽しい感情を持ちたいと考えているけれど、実際の感情が「希望していた感情」であるほど、人生の満足度が高い。
それが怒りであるか、喜びであるかは関係がない。
つまり"希望通りにいくこと"に、幸せを感じているワケです。
「どんな感情を抱いていたいか?」という質問に、参加者の11%が愛情などの肯定的感情を減らしたいと思っていて、10%が憎しみや怒りなどの否定的感情をもっと抱きたいと答えていました。
研究者のひとりであるタミール教授は、こんな懸念も。
「欧米文化では、人はいつも明るい気持ちでいたいと願っている。それなりに幸せだと感じていたとしても、もっと幸せになるべきだと思うことによって、結果的に不幸になっているのだろう」。
良いも悪いも、存在しない。
この研究結果にそって考えると、「幸せ」というものは、あまりにも主観的なものだからこそ、もっとフラットに捉えなければいけないということかもしれません。
例えば、子どもが欲しくないと思っている人は、生まないという結果が幸せで、結婚も同じ。「〜〜が幸せだ」という誰かの主張が、自分に当てはまる保証はどこにもない。なぜなら、"抱きたい"と思った感情が、幸福度や満足度の根源となっているのだから。