昔話やおとぎ話に隠された「日本の教え」

誰もが知ってるような昔話の数々には、じつはルーツがあり、話の裏に隠された本当の意味がある——。

ノマド(遊牧民)神主でありラッパーとしても活躍するシシドヒロユキさんは著書『シン・ヤマトコトバ学』で、そんな民話やおとぎ話は「古事記」や「日本書紀」がカバーできなかった、神様と日本の教えを守る優れた副読本だ、と解説しています。

ここでは「桃太郎」や「サルカニ合戦」など、昔話にまつわる「裏設定」を見ていきたいと思います。

鬼を許した「桃太郎」の
ウラ設定とは?

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日本の代表的な昔話「桃太郎」は、「古事記」や「日本書紀」に出てくるイザナギが黄泉の国から逃げていくときに投げた桃の実の話をモチーフとしています。おじいさんは山へ芝刈りに行きますが、芝とは「ひば」といって、霊的な木のこと。おじいさんは山で修行体験をしていたわけです。ちなみに、おばあさんは川で洗濯をしますが、これは禊のメタファーとされています。

そのような霊的なトレーニングを繰り返していると、川から大きな桃が流れてきます。桃はオオカムヅミカミのシンボル。イザナミが憤って送り込んだ魑魅魍魎、百鬼夜行を退散させた神聖なる植物です。このとき、おじいさんはまだ元気かもしれませんが、おばあさんは閉経しているはず。しかしながら、この神聖な桃の実を食べて回春し、生まれたのが桃太郎なのです。

キビ団子のキビはイザナギ、イザナミの語尾です。団子はお餅ですから、お正月の鏡餅の簡略系と考えられます。お話ではキジ、サル、イヌがキビ団子を求めてやってきますが、これらの動物をまとめると「トリサルイヌ」といって、すべてを消し去るという意味となるのです。またイヌは剣、トリは勾玉、サルは鏡というように、三種の神器に対応していると見立てられます。

鬼ヶ島へ鬼退治へ行く桃太郎ですが、そこにはウシの角をつけ、トラの毛皮パンツを履いた色とりどりの鬼がいます。中国で鬼は死者を意味しますが、東北丑寅の方角から結界を破って入ってくるため、ウシとトラをサンプリングしているわけです。

桃太郎は鬼退治をしに行きましたが、相手を殺してはいません。罪を許しています。その結果、財宝が手に入ったということで、許し合いこそが天下無敵の外交手段であることを物語っているのです。

サルカニ合戦や
浦島太郎の知られざる話

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続きまして「サルカニ合戦」を解説しましょう。

まず、カニは河内から侵入してきた弥生人、サルは縄文人として見立てられています。ここでは、サルは一元論(ひとつのことですべてを説明しようとする思考)の象徴、カニは二元論(物事の根本には、相反するふたつの本質があるという考え方)の象徴とされているのです。

物語では、カニはふたつのハサミと固い鎧を持っておりますが、サルが投げた柿の実によって死んでしまいます。カニは親の恨みを晴らすべく、ウスとハチと協力してサルのお尻を焼き、撃退するのが本筋です。ちなみに明治期までは、現在の絵本とは結末が異なり、サルはカニからハサミで首を切られてしまう内容となっています。やったことは返ってくる…因果応報というやつです。

これは宮崎駿の『もののけ姫』でも表現されている世界観です。やはり一元論のサルは縄文人、二元論のカニは弥生人に分類されています。

「一寸法師」は、住吉大社が発祥という説があります。オオクニヌシを助けた物言わぬ小さな神様スクナヒコナの起こしたイノベーションは、食事や鍼やお灸などの健康メソッドがモチーフとなっています。

「舌切り雀」は、動物と会話ができた時代、「言霊」と「足るを知る」ことの大切さを解いています。

「浦島太郎」は、海幸彦にいじめられた山幸彦であります。竜宮城に行って帰って来るという、現世から幽世(死後の世界)に旅をしました。太平洋全体に同じようなお話が存在しているのも特徴です。

これまでに紹介した昔話は、残酷な部分が省かれている場合があります。確かに今の時代にはそぐわないのかもしれません。しかし、それには意味があります。やはり神話との関連を味わいたい人には、なるべく原型のお話を味わうことをおすすめしたいです。

『シン・ヤマトコトバ学』 著:シシドヒロユキ(光文社新書)

日本語の原点である「大和言葉」の歴史や構造を、神主であり、ラッパーでもある著者がポップに解説。あえて独自のこじつけや語呂合わせを加えて、今までにはなかった「ヤマトコトバ」として新たな考え方を提案しています。サブカルチャーや言葉の変遷に興味のある方ににおすすめの一冊です。

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