「風情ある」以外の切り口が、花火大会にあってもいいんじゃないかと思った話

19歳のころ、春期の1セメスターだけ交換留学に行った。行き先は、カナダ・バンクーバー。

異国での4ヶ月。もちろんいろんなことがあったのだけれど、今でも鮮明に覚えているのが、イングリッシュ・ベイで行われた花火大会、通称『Celebration of Light』だった。

正式名称は『Honda Celebration of Light』。もとは『Symphony of Fire』という名称でスタートしたこのイベントは27年にわたって開催されており、海の沖合で開かれる花火大会としては、もっとも長い歴史をもつといわれている。世界的にも有名な花火大会だ。

しかし、ホストマザーに「楽しいから行ってきなよ」と言われ、学校の友達とイングリッシュ・ベイに向かう道中、私は「はいはい、花火ね」くらいにしか思っていなかった。

日本生まれ、日本育ちの私が思い描く花火大会は、ヒュ〜と上がって、ドン!と広がって、みんなが「わぁ」って言って……うん、それで? という感じ。それが夏の風物詩だ、風情だという文脈は日本人としてもちろん理解できる。けれど、それがひと夏に何度も続くとなると、何度感傷にひたればいいんだという気持ちにもなった。

適当に10分くらい観たらあとは友達と遊ぼう——そう考えていた私が、まさか30分以上ずっと花火を見上げ、しかも大興奮するとは、その時は想像していなかった。

花火って、
エンターテインメント!

じつは、『Honda Celebration of Light』はただの花火大会ではなく、花火のコンペティションだ。競い合うのは国同士。3晩にわけて行われ、1晩につき1国がパフォーマンスする。イングリッシュ・ベイの夜空を舞台に、花火と音楽という演出を使い、一大エンターテインメントショーが繰り広げられるのである。

私が観に行ったのは、カナダのパフォーマンスの日だった。テーマは「Attack」。詳しい構成はもう忘れてしまったが、ゴジラのテーマに合わせて花火がアグレッシブに打ち上げられていく様子も、そしてそれに見入る観客も、私が想像していた「花火大会」とは真逆のものだった。まるでスポーツ観戦をしているかのように興奮し、映画を観ているかのように感動し、立派なエンターテインメントとして成立しているさまに、ただただ圧倒された。

……というのも、もう9年前のことである。なぜ突然そんなことを思い出したのかというと、ハウステンボスで行われる花火大会が、もしかしたらそれに近いんじゃ?と思ったからだ。

こういうの、観たかった

11月4日(土)に行われる『スーパーワールド花火』は、「花火で世界旅行を楽しもう」をテーマに行われる花火大会だ。

日本初上陸の巨大仕掛け花火が上陸するとか、花火で世界一周を体験できるとか、15,000発打ち上げられるとか、売りはいろいろある。あるのだが、やはり私が推したいのは「ショーが練られている」という点だ。

詳しい構成はもちろん当日までおあずけ(私も知りません)。けれど、世界各国の特徴を花火と音楽で表現する、という情報を聞くかぎり、とても頼もしい演出のように思う。ヨーロッパはクラシック音楽を、アフリカはアフロビートやサルサ、ルンバを、オセアニアはアボリジニなどの先住民音楽を使って、それを花火と融合し、ストーリーに仕立て、ワールドツアーを実現する。

ちゃんと、ショーが構成されている花火大会なのだとわかる。

テレビだってラジオだって舞台だって、ちゃんと脚本あるじゃん。小道具だって音楽だって用意するじゃん。ひとつのショーを作り上げるために構成を練る、というのはごく当たり前のことなのに、なぜ日本の花火大会は「風情」に頼りきりだったのだろう? ……という疑問を解消し、その突破口になってくれそうな気がしているので、『スーパーワールド花火』、私は期待しています。

【開催概要】

 正式名称
 スーパーワールド花火
 
 開催日時
 2017年11月4日(土)
 19:30~21:00(予定)

 会場
 ハウステンボス
 ロッテルダム会場花火観覧エリア(有料イス席・マス席)
 ウォーターマークホテル前花火観覧エリア(有料イス席)
 ※メキシカン・キャスティーリヨはロッテルダム特設会場内で開催のため、他の会場からは観覧不可

Licensed material used with permission by ハウステンボスPR事務局
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。