「切ない!」「素敵すぎる!」あの花火大会のポスター、一体誰が作ったの?

7月下旬。Twitterのタイムライン上に、友人からのリツイートでとある画像が回ってきた。それは、2017年7月29日(土)に行われた、第68回呉の夏まつり「海上花火大会」のポスターだった。 

日本中いたるところで毎晩のように花火が打ち上がるこの季節。東京住みの私にとっては、呉でいつどんな花火大会が行われるのか、正直どっちでもよかった。

しかし、気にかかってしまったのだ。
原因はそのポスターの“異様さ”にある。

イラストに、
キャッチコピーだと...?

このポスターの異様さの原因。

まず、写真ではなくイラストだ。そして、キャッチコピーもある。ついでに、5パターンも用意されている。

異様だ、と思った後に、気づけば惹かれていた。

ポスターデザインもだが、特にコピー。いや、これは秀逸すぎる。

そう思ったのは私だけじゃなかった。気づけばSNS上ではこのポスターが話題をかっさらっていた。「切ない」「素敵すぎる」「センス抜群」……、花火大会のポスターで、これほど世間が盛り上がったことがあっただろうか。しかも変化球で、世間の不特定多数の真部分集合を、みごと射抜いてしまった。これは“事件”である。

で、誰が作ったんだ、これ!

気になった私は、海上花火大会の関係者に聞き込みを始めた。すると、

・これはWEB限定のポスターである
・主催者が公式で出しているポスターではない

という情報が。
WEB限定ポスター……しかも、公式じゃない、だと……!?

じゃあ誰だ。誰が作ったんだ!
手がかりを求め、今度は呉市役所に問い合わせた。すると、こんな返答が。

呉市公式キャラクター「呉氏」を手がけた方が、呉市に大変愛着を持ってくださり、今回のポスターを作ってくださいました。

なんと有力な情報。ぜひ制作者の方に話を訊きたい!
そうお願いしたところ、紹介してもらうことができた。

あのPRをやっていた人でした

制作チームの代表としてお話を聞かせてくださったのは、ポスターのコピーを担当した大塚久雄さん(CMプランナー・コピーライター/株式会社電通中部支社)。

名前だけ聞いてもわからない方もいると思うので、作品を紹介したい。
大塚さんを含むクリエイティブチームが制作し、コピーライターズ名古屋『CNN賞2017』のWEB部門、三井明子賞を受賞したのが、こちら。

大塚さんの制作チームは、2016年から呉市のシティプロモーション施策として、上のPR動画や、PRキャラクター「呉氏(くれし)」の制作に携わってきた。そのなかで、「また違ったかたちでPRのお手伝いができれば」と企画されたのがあのWEBポスターだったという。

呉市役所に企画を提案したところ、快く「OK」が出た。ポスター制作には、大塚さんのほか、PR動画にも携わった鳥海雅弘さん(アートディレクター/株式会社電通中部支社)、村上史洋さん(デザイナー/株式会社インパクトたき)、家田幸奈さん(デザイナー・イラストレーター/株式会社インパクトたき)が参加した。

素晴らしいポスターデザインは呉市役所内でも話題に。多くの人に知ってもらいたいと「呉氏」のTwitterで紹介したところ、SNS上で瞬く間に拡散された——というのが事件の真相だったのである。スッキリ!!

せっかくなので、
お話をききました。

大塚さんに連絡をとった際、この「素敵すぎる」ポスターについて質問させてもらった。以下、メールインタビューです。

 

——従来の花火大会のポスターとは違う斬新な切り口で、同時に普遍的でもあり、多くの方が共感したWEBポスターでした。制作に込めた思いをお聞かせください。

 

大塚 私も地方出身なのですが「花火大会」に象徴される夏は故郷や故郷にいる家族や友人を思い出します。そんな気分を、ポスターを見てくれた人が重ねてくれたらうれしいなと思いました。ただ、地方の花火大会が持っているそのような情緒をノスタルジックになりすぎず、なんか新しくない?と感じてもらえるようなポスターを目指しました。

 

——「切ない」「素敵すぎる」とたくさんの好意的な反響が寄せられています。どのように受け取っていますか?

 

大塚 たいへん嬉しく、ありがたいです。見てくれた方、広めてくれた方に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。バズのトレンドのようなものとは対極にある意味では古典的なポスターだと思いますが、それが逆に新鮮に受け取ってもらえたのかなと思います。

結論:私、呉に興味がわく。

一連の事件を追ううちに、俄然、呉市に興味がわいた。PR動画のぶっ飛んだクリエイティブもそうだが、ひと夏だけのためのポスターを、多くの人の心に永遠に刻んだ人たちが「もっとPRしたい!」と願うまちなのだ。すべてを解き明かした今、ぶっちゃけ呉に一度も行ったことのない身で恐縮だが、なぜか愛着がわいてしまった。この記事を最後まで読んでくれた、あなたはどうだろうか?

余談ですが、大塚さんは、「呉ー市ー GONNA 呉ー市ーと、この花火大会のコピーを、同じ人間が書いたなんて、なんか闇しか感じない」と言われ、ショックを受けているとのことです(笑)。

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