鎌倉で日本舞踊を習ってみて、筋肉痛以外に私が得たもの

JAPAN LOCAL編集部・林田、Airbnbの「体験」の体験記、第2弾です!

第1弾では松陰神社前で味噌作りを楽しみ、焼きおにぎりと味噌汁に心満たされ、「次も何かおいしいものを……」と企んでいたのですが、同僚の「いつもなんか食べてるよね」の一言に心を入れ替えました。

そんななか、絶妙なタイミングでAirbnbの担当者から「日本舞踊やってみます?」とのお声が!

「なんかJAPAN LOCALっぽいじゃん!!!!!」

結局安易な思考回路に変わりはないけれど(笑)、参加させてもらうことにしました。

今回お世話になったのは、こちら

鎌倉・円覚寺の如意庵にて行われた、吾妻流師範・吾妻聖香さんがホストの「体験」だ。

2時間の行程で、軽食とドリンク付き。浴衣、帯、腰紐、足袋、そして舞扇は用意してくれているので、浴衣の下に着る肌襦袢(ない人はTシャツでもOK)だけ持参。ガイド言語は英語とあるが、今回の参加者はみんな日本人だったので日本語でレッスンしてくれた。このあたりは、第1弾の味噌作りのときと同様、ホストが臨機応変に対応してくれているよう。うれしい。体験料は10,000円だ。

画面をスクロールし、レビューを読む。
名前から察するに海外の方からのコメントも多数。

「聖香さんは優しくてフレンドリーだし、すごくいい先生!」
「忘れられない体験ができたわ! 聖香さんのおかげよ!」

絶賛の嵐! スパルタレッスンだったらどうしようと思っていたので、少し安心する。しかも評価(5つ星で表示)は5/5。パーフェクトです。

そして、あっという間に「体験」当日。
待ち合わせ場所の、円覚寺の三門で聖香先生を待っていると……。

いらっしゃいました!

お、お美しい……!!!!!!

凛とした姿勢に洗練された雰囲気、そして品のある立ち振る舞い。もう、オーラが違います。如意庵に向かう間、ずっと先生に見とれて石段を踏み外しそうになりました。ふう、危ない!

如意庵に到着。

お庭が綺麗。それでは、おじゃまします!
なかのお座敷をのぞくと……?

美しい屏風の手前には、お稽古用の浴衣が! どきどき。

浴衣と帯の柄は全部違うものだったので、それぞれ好きなものを選び、さっそく着ることに。

昔、浴衣の着付けはなんとなく教わったことがあるので(それでも記憶はあやふやだったけど…)、ささっと腰紐を結んだところで。

「合わせから教えますので、まだひもは使わないでくださいね(笑)」

はっ! 早とちりました、すみません……!(結局私の着方、間違ってたし)。

聖香先生は普段のお稽古でも、着付けを含めた指導をしてくれるのだそう。日本舞踊だけではなく、着付けの習得を目的に訪れる生徒さんもいるらしい!

「襟抜き(=襟のうしろをひっぱって着崩すこと)が色っぽいと、後ろ衿を広く開けてしまう女性もいます。しかし、私のような芸事の師範をする場合やお稽古のとき、それから目上の方に会うときは衿は詰めたほうがいいんですよ」

聖香先生は、そういった礼儀や知識についても教えてくれる。

「お座敷でのお作法は、日本舞踊だけではなくすべて同じなんです。この体験を通じて、今後、何かみなさんの役に立つような所作や知識をお伝えできればと思います」

浴衣を着てすでに達成感に包まれつつ、(いやいや、まだ舞ってないし!)と気合いを入れ直し、舞扇を手に——。

日本舞踊のお稽古、スタート!

ご挨拶(正座したままの礼)の仕方、舞扇の置き方・帯への刺し方・開き方など、ゆっくりていねいに指導してくれる聖香先生。

見ている分には「美しいなぁ〜…」と幸せな気持ちになるのですが、それはやはり長年のお稽古の賜物。数秒の所作の間には10個くらいルールやコツが出てきて、もはや舞扇すら開けられなくなる私。軽くパニック!

あらゆる所作において不器用な私にもしっかり目を配りながら指導してくれる聖香先生。「はい、もう一度いきますよ〜」と何度も確認してくれる。レビュー通り、いい先生です。優しさが心にしみる。

浴衣の着付けに始まり基本的な所作まで30分ほどお勉強したところで、つ、ついに…!

舞いまーす!!

基本的な足の動き「おすべり」(膝を軽く曲げ、足を交互に後ろへ滑らせる動作)をまず習う。

足だけだとなんとかなる。だけど、これに手、そして首の動きをつけていくともう大変。手と足の動きが見事なまでにバラバラに。運動会とかで緊張して右手右足が同時に出ちゃう人、いたじゃないですか? まさにあれ。でも先生は真摯に指導してくださいました(泣)。

ちょっと様になってきた?

ちなみに課題曲は『さくらさくら』。長さは1分30秒くらい。あ、今「1分半くらいのダンスすぐ踊れるでしょ?」って思いましたよね? 先に言っておきます、本当に難しい(少なくとも私は)!

最初の挨拶を含め、8パートくらいに分けて振りを覚えていく。まずはゆっくり分解して覚えていき、先生に合わせて一連の動きをやってみて、半分くらいまで進んだところで曲に合わせてやってみたのだけど、いやあ、破滅的でした…。

動作の美しさに気をとられるとルールを忘れ、ルールに気をとられると振りつけを忘れ、振りつけをうまくやろうとすると筋肉がプルプルする(翌日筋肉痛になりました)。すごく頭を使うのに、全身運動をしなければいけない。

ちなみに、先生のお母様も師範で、今70歳でいらっしゃるそうだが、「今でも元気に日本舞踊を教えていますよ」とのこと。これだけ体幹や筋肉を使うのだから、納得!

一通り振りつけを覚えたあとは、いったんリフレッシュを兼ね境内へ。美しい境内をお散歩したり、先生と一緒に記念写真を撮ったりできる。観光客の人には、浴衣を着てこういう体験ができるのもうれしいポイントかも。

そして戻ってくると、おさらいタイム。

「それではふたりずつ舞って、それぞれ動画を撮りましょう」

ええええええ!! まさかの撮影タイム(笑)!!

でも、いわゆる西洋のダンスと違い、鏡を一切見ずに練習するので、自分がどんな動きをしているのかは謎だった。というわけで携帯でムービーを撮ったのですが、それでもしばらくは怖くて見れませんでした(笑)。だけど、

「最後に踊ったのが、一番きれいでしたよ」

先生に褒めてもらった! うれしい!
最後にお座敷で記念撮影。

最後にお茶とみたらし団子をいただいて、2時間にわたる日本舞踊の「体験」、終了!

今回の体験は、本当に難しかったけれど、だからこそ勉強になった。

それは、舞扇でさくらの花びらが散る様子を表現したり、動作の大小の緩急をつけたりするなかで、日本舞踊は表現であり、芸術であることを身をもって体験したからだ。日本文化を、やれ芸術だと口先で言うのは誰にでもできる(実際私も記事に書いてしまいがちだ)けれど、こうして習うと、本当の意味で実感がわく。それは、本を読んで知識を蓄えるのとはもちろん違うし、実際に鑑賞するのともまた違った経験だった。

情報、知見、そして体験といった点を繋いでいくことで、日本文化というものが、自分のなかで立体的になっていくのではないか。今回の「体験」で、私はそんなことを感じながら、鎌倉を後にした。

Licensed material used with permission by Airbnb
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。