江戸とバスケットボールへの「並々ならぬ愛」を浮世絵に込めた。
国も宗教も言葉も関係なく、バスケットボールさえできれば人は繋がる。
これは、オーストラリアで活躍するアーティストのAndrew Archerが、3年間アジアを旅して気がついたことだ。
香港ではある建物の屋上で、バンコクでは高架下で、カンボジアでは整備されていないヒビ割れた場所で。どこの国でも現地の人々が「バスケのコート」と呼ぶ所へ行けば、みんな家族のようにあたたかく迎えてくれたという。
浮世絵とバスケットボールを組み合わせた「Edo Ball(江戸ボール)」を生み出したのは、世界中の人々に親しまれるこの愛しいスポーツの影響からだった。
見て楽しい、感じて楽しい。
すべてが「一体」となる浮世絵
僕は日本人にすごく感謝している。なぜかというと、江戸時代に生まれた浮世絵は、日本の文化の象徴でもあって、多彩にしかも繊細に描く“職人技”を感じさせる素晴らしさのある芸術。「耐え忍ぶ」チカラのある日本人だからこそのアートだ。それを日本の歴史が生み出してくれたおかげで、アーティストとして道を切り開くキッカケにもなった。
だから、僕の人生に大きく影響を与えた日本の伝統とバスケットボールは、東洋と西洋を繋ぐのに最適だと思うんだよね。
Andrewが、路上でストリートバスケットボールをしているとき、ふと周りを見渡したらプレイヤーも観戦者も“ひとつ”になっているように感じたことがあるそう。まともに話したこともない、育った環境も違う人たちの「楽しい」という感情が自分の中に流れ込んできたことを今でも覚えていると語ってくれた。
すべての情熱を注いで生まれた浮世絵は、とても華やかなんだけど「熱気」を感じる。
それはAndrewがストリートバスケをしているときに出会った「感情」と似たものが、私たちの心にも流れ込んできているのかもしれない。
2つの全く異なる文化がひとつになった絵。言葉の壁も心の壁も打ち砕く、彼の描いた“新たなカルチャー”は可能性を秘めているような気がしたんだ。