言いわけ厳禁!社会人として間違っちゃいけない慣用句
取引先に「どうぞ、お体ご自愛くださいませ」と、メールの文末にドヤ顔で添えていた私。CC(カーボンコピー)にいれていた上司からこっそり「自分の身体を気を付ける意味がもともと『自愛』に含まれてるから、お体はいらないよ」と教えてもらった時、もう何回も使っちゃってたよ……と、恥ずかしい想いをした経験があります。
そう、間違って認識している日本語って多いんです。
山田晴男さん著『使いこなせたら一人前 社会人の日本語』では、正しい日本語の使い方を教えてくれています。この本で確認して、誰かに指摘される前に覚えちゃいましょう!
その使い方本当に大丈夫?
間違いやすい慣用句5つ
意外とオトナも間違える。そんな慣用句をピックして、クイズ形式でご紹介します。
AとBのどちらが正しい使い方だと思います?あいまいな人、今後の社会人生活に役立つこと間違いなし!
01.
役不足
A)「社長の代理なんて、私にはとても役不足です」
B)「こんな軽い仕事は、彼にとっては役不足です」
「役不足」は、与えられた仕事や役目が、そのひとの力量に比べて軽すぎるという意味です。従って、「このような仕事を与えていただき、ありがとうございます。私には役不足と思いますが、精一杯がんばります」などと謙虚なつもりで言ったとしても、正しい意味を知っている上司なら、「何と嫌味な…」と顔をしかめることになってしまいます。
正解 B
「役不足」の正しい意味を答えた人は半分以下。
Aと回答した人…51.0%
Bと回答した人…41.6%
(平成24年度文化庁「国語に関する世論調査」より)
02.
遺憾に思う
A)「心残りで、残念だ」
B)「申し訳ない気持ちだ」
ときどき、政治家や企業経営者が記者会見などで使った言葉が、意味を誤解されて広まっていくということがあります。「遺憾」という言葉もそのひとつです。「遺憾」はもともと、心残りで、残念という意味。
ところが、よく政治家の会見にありますが、身内の大臣の失言に「そこは遺憾に思います」などとコメントすることで、「遺憾」という言葉に謝罪の意味があるように思えてしまうのですね。本来、謝罪の意味はありませんから、正しくは「そういうこと言ったの?残念だ」という意味になり、よく考えると、どこか他人事のように聞こえます。
正解 A
03.
やぶさかでない
A)「よろこんでする」
B)「仕方なくする」
「やぶさか」はもの惜しみすること。「ない」という否定語がつくことで、ここは「やぶさか」を否定した、ポジティブな意味がもともとの使い方なのです。
「やぶさか」は漢字では「吝か」と書きます。「吝」の字は“りん”と読み、もの惜しみする、という意味があります。ケチな人のことを「吝嗇(りんしょく)」とも言います。「やぶさかではない」は「やぶさか」を否定していますので、もの惜しみしない、よろこんでするという意味になります。
「ない」という否定語がつくので、どうしても「仕方ない」「やむを得ない」のように、渋々するというイメージが定着しています。
正解 A
「やぶさかではない」の意味を「仕方なく」と答えた人は4割も。
Aと回答した人…33.8%
Bと回答した人…43.7%
(平成25年度文化庁「国語に関する世論調査」より)
04.
さわり
A)「時間がないので、冒頭のさわりだけ聞かせてくれ」
B)「時間がないので、ここというさわりだけ聞かせてくれ」
「さわり」は漢字では「触り」と書きます。「さわる」という語感から、「表面に手をつける」→「最初の部分だけなぞる」というような意味にとられていったのだと思いますが、正しくは物事の聞かせどころ、ビジネスの世界では、もっとも重要な点といった意味で使われます。
正解 B
「さわり」の意味を誤解している人は55%!
Aと回答した人…55.0%
Bと回答した人…35.1%
(平成19年 文化庁「国語に関する世論調査」より)
05.
姑息
A)「相手に情報を流すとは、何とも姑息な手段だ」
B)「いま、担当をかえても、それは姑息な対応だ」
「姑」は、もともと文字通り、年老いた女性のこと。彼女たちは得てして保守的で、現状のままを好み、しばらくそのままにしておきたいと考えますよね。
「姑息」の「姑」はしばらく、「息」は休息、つまり休むこと。したがって、「姑息」とは、しばらく休みという意味から「一時しのぎ」という意味になりました。あまりに多くの人が「姑息」を、卑怯なとか、ずるいという意味だと誤解しているのはなぜでしょう。
ひとつは「姑」が、しゅうとめを表すことから、嫁に対して色々意地悪をするというイメージがあること。もうひとつは「姑息」がこそこそとか、こっそりという発音に似ていて、影で何か悪いことをするという響きがあることからでしょうか。
正解 B
「姑息」の意味を「卑怯な」と答えた人は71%も!
Aと答えた人…70.9%
Bと答えた人…15.0%
(平成22年度文化庁「国語に関する世論調査」より)