社会に出ると、もう学生に戻らない日本っておかしくない?
社会人のみなさん、働き始めるようになって、大学時代に学んだことってどのくらい活きていますか?
今年の3月に大学を卒業し、4月から働き始めた私が感じることは、全く活かせていないわけではないけれど、学んだことが仕事と直結しているとも言い難い。ということ。
専攻と関係のない「恋愛心理学」の授業に潜入した経験すらも、ライターになった私のアイディアになってくれているのだから、大学の授業に意味がなかったなんて思わない。でも、今の自分が入学時に戻ったら、選択する授業はちがう。
だって社会人になって置かれる環境や考えが変われば、学びたいと思う分野も変化するから。これって、ものすごく普通のこと。だけど日本では、学生に戻ることが特殊みたいに思われてしまう。
内閣府の調査でも、教育機関で学びたいと考えている人は約80%もいるのに、25歳以上の大学入学者は2%しかいない。
興味は変わりつづけるのに、
学生には戻らない日本人
海外に行くと、30代40代の人でも普通に「大学に通ってるよ〜」って答える人がいるけれど、私は30代以上の大学生と、日本で出会ったことがない(笑)。
就職してから大学に戻るのはリスキーだと感じるし、一般的に医学生や大学院生でもなければ、20代後半だって「まだ大学生してるの?」という目を向けられてしまうだろう。そもそも、大学生というステータスに対して抱く感情が、日本では特殊なのだと思う。
学びを深めたいという思いは、年齢に関係なく芽生えるものなのだから、本来なら何歳の学生がいたって不思議ではないはず。
他国に比べると、かなり考えが偏っているのだなと改めて感じたのが、OECDが毎年発表している、『世界各国の大学・大学院の平均進学年齢』の調査結果を見たときだった。
入学平均年齢が<18歳>なのは、日本だけ。
OECD先進国のなかで、日本は大学入学平均年齢が最年少の18歳だった。教育制度に大きな変化がないから、ずっと前からこの数字は変わっていない。
一方で、スイスの入学平均年齢は24.8歳。卒業するときには、大体がアラサーになっている。デンマークも23.9歳で、北欧諸国は基本的に年齢が高い。
大学院の入学年齢も、修士課程で30歳前後。博士課程になると30歳超えの国がふつうだ。社会人経験をしてから、もう一度学びを深めるために選択をする人が多いことが、この結果からわかる。
日本の入学平均年齢は、世界から見ると想像以上に若かった……。
もう一度学びを深めることにコミットしたいと思っても、会社の所属年数が長いほど給料に反映されるし、教育を受けるために、一定期間有給で職場を離れることを認める『有給教育訓練休暇』だって、導入されている企業は一握り。(ヨーロッパではすでに法制化されている)
学生に戻るならいっそ、海外に出た方が気持ち的にもラクだろうなぁ。
学びたいという思いを行動に移すだけで、ちょっと日本はハードルが高すぎない?