女の人の名前が、お菓子の名前になるとき。
この「TABI LABO」のオフィスの2階で運営している『BPM』のコーヒースタンドでは、おいしいコーヒーと、すこしのお菓子を売っています。
ミーティングがあると、このスタンドの前を通ってミーティングスペースに行くから、カウンターにあるケーキがもう気になっちゃって。レモンのケーキも、バナナのパウンドケーキも、強い主張はせずにちんまりと(でもすごい存在感で)おりこうに並んでいるものだから、つい立ちどまって眺めてしまうんです。
そんな中、気になるケーキがひとつ。
「ヴィクトリア サンドウィッチ」
いくつかのパウンドケーキの中、こんな名前のケーキがあるじゃないですか。見た目はとってもシンプルなスポンジケーキ。間にクリームとフルーツジャムがはさまっています。イギリスでは代表的なお菓子なんだとか。
どうにもこのお菓子が気になってしまったのは、まずその見た目と名前のギャップでしょう。そのケーキは、いうなれば、普段お菓子づくりなんてしないお母さんがクリスマスのときにだけ作ってくれるような素朴さ。なのに、名前が「ヴィクトリア」。
「ヴィクトリア」って
あのヴィクトリア女王のこと?
食べ終わってから、どうしても気になったのでケーキの名前の由来を調べてみました。結論からいうと、ヴィクトリア女王、かなり深く関係していて。そして、思った以上に素敵な由来だったんです。
諸説あるようですが、多く知られているのはこのエピソード。最愛の夫を亡くし、かなしみのあまり別邸にこもってしまったヴィクトリア女王は、喪に服し、10年あまりを黒い服で過ごすようになったんだとか。
そんな女王をなぐさめるためにつくられたのがこの「ヴィクトリアサンドウィッチ」だったようです。
シンプルで家庭的な生活を愛した女王はこのケーキをとても気に入り、それからまたすこしずつ、華やかなドレスや宝石も身につけるようになったんだって。ひとりの女性の人生が大きく関わってできているお菓子だと思うと、なんだかいとおしい気持ち。大きなかなしみを克服するきっかけになっていると思うと、なおさらです。
みんなも一度、食べてみて!
ヴィクトリア サンドウィッチ(ラズベリー&ブラックベリー)¥380
これは、ラズベリーとブラックベリーのミックスジャムをはさんだもの。『BPM』のお菓子たちは、バリスタの秀平さんがつくっています。
「オーソドックスなんだけど美味しい」というご本人の言葉のとおり、正統派でシンプルなこのビクトリアサンドウィッチ。お茶を飲みながら、気心しれただれかとゆっくり楽しみたくなるケーキです。ぜひ、一度食べてみてはいかがでしょう?