この世界に「好き」の2文字がなかったら、君になんて伝えよう
グラタンが好き
夏が好き
この仕事が好き
少しずつそれぞれの「好き」に込められている感情は違うはずなのに、まるっと包み込んでこの言葉に託したら、感覚的に、わかるよって受け取ってもらえる。
片思いしている人に伝える「好き」は、付き合ってくださいって意味だけじゃない。もっと複雑で、もっと苦しくて、もっと大変で、実は嫌いだよって感情すらある。
それなのに2文字に落とした途端、なんて簡単に、解釈されてしまうのだろう。
この言葉がなかったら、
君になんて伝えよう
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言葉だけじゃ足りないね。
あたしだったらこういうよ「指を おってください」
小畑 友紀(2003年)『僕らがいた』フラワーコミックス
言葉にして、口に出すだけでは足りないから、「指を おってください」。
そんな告白を、聞いたことがない。けれどこの言葉のほうがずっと、感情を言い得ていたのだと思う。
本当は、好きでいればいるほど、たくさんの感情がまざりあっていて、誰でも言えるような言葉なんて、ふさわしくないはずだから。
もし、この世界に「好き」という言葉がなかったら
あなたは1番好きな人に なんて伝えますか?
悩んで言葉にできないとき、その沈黙のほうがきっと、「好き」より好きを表している。
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